starthome-logo 無料ゲーム
starthome-logo

中学生集団避難、3市町400人に 心のケア課題 能登半島地震


 能登半島地震で大きな被害を受けた石川県輪島市の中学生258人は17日、古里を出発し、約100キロ離れた同県白山市に集団避難した。県教委は珠洲市と能登町の中学生計144人も21日から、金沢市に集団避難すると発表。2市1町の中学生計約400人が親元を離れて学ぶ異例の事態となった。生徒の学習機会を確保する目的だが、傷ついた生徒の心のケアや地元に残る生徒への対応など課題は多い。

 県教委によると、17日時点で県内の公立小中学校計281校のうち輪島市などの20校は学校が避難所となったり、施設が被害を受けたりして再開時期が見通せない。また、学校は再開しても、一定数の生徒が他自治体に避難して戻れないケースもある。そこで、2市1町では生徒らの集団避難を念頭に保護者の意向調査を進めていた。その結果、輪島市で約64%、珠洲市で約51%、能登町で17%の保護者が集団避難を選んだ。

 輪島市立の全3中学の生徒は17日、最長で約4時間半かけて県立白山青年の家などにバスで移動した。2カ月程度滞在し、集団生活をしながら通常のカリキュラムに近い形で授業を受けるという。

 「新しい所に行くワクワクもあるし、知らない所に行く不安もある」。市立輪島中3年の小住優太さん(14)はバスの出発を前に、複雑な胸中を語った。「家族と離れるのはさみしいし不安だけど、受験勉強を頑張りたい」。同3年の大向結依子さん(15)は、母裕子さん(47)の見送りを受けた。裕子さんは「友達や先生と一緒に避難できるのはありがたい。向こうでは地震のことを少しでも忘れてくれれば」と願った。

 一方、地元に残る決断をした親子も。息子の持病への不安から集団避難を見送った父親(59)は「家族一緒にいるのが一番。難しいかもしれないが、きちんとスケジュールを立てて勉強すれば大丈夫かなと。友達との関係も変わらないと思う」と話した。

「残った子とつながりを」識者指摘

 教育評論家の尾木直樹さんは「日常を取り戻し、同じ境遇の友達といることは何より子供たちを元気にする」と集団避難を評価する。その上で「震災直後の子供の心の受け止め方について教員研修を急ぐべきだ」と話し、「オンラインを活用するなどして、残った子供と集団避難した子供とのつながりを絶やさないようにしてほしい」と求めた。

 東日本大震災の被災地で子供の支援を続けてきた森田明美・東洋大名誉教授(児童福祉学)は「周囲の大人が子供たちの声を丁寧に聞き取り、敏感に継続して対応する必要がある」とし、「能登の一員として重要な役割を果たせていると伝えることは、子供たちの心を古里から離さず、生きる意欲につながる」と助言した。【水谷怜央那、春増翔太、戸田紗友莉】

    Loading...
    アクセスランキング
    starthome_osusumegame_banner
    Starthome

    StartHomeカテゴリー

    Copyright 2024
    ©KINGSOFT JAPAN INC. ALL RIGHTS RESERVED.