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死者増加、火葬場被災し稼働できず 葬祭場で遺体安置 能登半島地震


 能登半島地震で甚大な被害が出ている石川県北部で、犠牲者の火葬が追いついていない。3市町にある火葬場が壊れ、使えなくなっているためだ。被害の少ない地域で荼毘(だび)に付すための遺体搬送もスムーズではない。「亡くなった方にできる限りの弔いをしたいのに……」。死者は日ごとに増えており、関係者が対応に追われている。

 半島北端にある石川県珠洲(すず)市は元日、最大震度6強の揺れが襲った。山あいにある市内で唯一の市営火葬場が稼働できなくなった。

 市内にある葬儀業者は数十体の遺体を施設内で一時的に預かっている。地震直後は連日10体ほどの遺体が運ばれ、周辺自治体や金沢市などでの火葬を順次依頼してきた。取材に応じた職員は「ご遺族から『火葬だけでも急いで』とお願いされるが、火葬場の復旧見通しが立たず、どうにもならない」と頭を抱えている。

 「住まいを失ったご遺族は遺体を安置する場所にも困っているのではないか」。こう話すのは、輪島市と穴水町をカバーする火葬場「やすらぎの杜」(輪島市)の担当者だ。これまで1日最大で6体の遺体を荼毘に付してきたが、天井や照明が落下し、床には段差ができた。停電続きで火葬炉の点検もできないという。

 県などによると、他に能登町の施設でも被害が出ている。火葬炉の扉がゆがんで開かなくなるなど3基のうち1基しか使えない。修理しようにも部品が調達できず、1日で火葬できるのは2件にとどまる。

 県は火葬場所を分散させる方針だ。県内13カ所のうち、被害の少ない中南部7カ所に遺体を搬送するとしているが、道路の寸断や渋滞の影響などもあり、思うように進まない。珠洲市の泉谷満寿裕(ますひろ)市長は8日、県の災害対策本部会議で「地元の民間葬祭場は遺体安置の許容範囲を超えている。自衛隊のヘリコプターで市外に搬出するなど計画を整えてほしい」と訴えた。

 災害に伴う犠牲者の火葬を巡っては、2011年の東日本大震災でも問題となった。今回と同様に火葬が追いつかず、被害の大きかった石巻市や気仙沼市など宮城県内の6市町で、2000体超が一時的に土葬された。その後、火葬のために遺体を移す「改葬」が実施された。

 石川県は10日から、業界団体の協力を得て被災地から遺体を運び出す寝台車を増やす取り組みを始めた。県の担当者は「できる限り遺族の意向に沿った対応をしていきたい」と話している。【小坂春乃、郡悠介】

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