北朝鮮が海上境界線の北側で200発砲撃 韓国・延坪島に退避命令

　韓国軍合同参謀本部は5日、北朝鮮が同日午前9～11時（日本時間同）の間、韓国北西部の延坪島（ヨンピョンド）と白翎島（ペクリョンド）北方の黄海に向けて200発以上の砲撃を実施したと発表した。聯合ニュースによると、延坪島の住民に対し退避命令が出たという。

　着弾地点は、韓国が海上の南北軍事境界線と位置付けている北方限界線（NLL）の北側で、住民や韓国軍への被害はない。韓国軍は対抗措置として同日中に海上射撃訓練を実施する予定。同本部は「朝鮮半島の平和を脅かし、緊張を高める挑発行為だ」と非難するコメントを発表した。

　北朝鮮は、金正恩（キム・ジョンウン）朝鮮労働党総書記が昨年末の朝鮮労働党中央委員会拡大総会で、韓国について「もはや同族、同質の関係ではない」と述べるなど、対北強硬姿勢を貫く尹錫悦（ユン・ソンニョル）政権を繰り返し批判。尹氏も今年6月までに核戦力を含む米国の「拡大抑止」強化を完成させると表明するなど、緊張が高まっていた。

　延坪島では2010年11月に、韓国の砲撃演習に反発した北朝鮮が砲撃する事件が起きた。韓国軍基地や民家に着弾し、軍人2人、民間人2人が死亡した。【ソウル日下部元美】