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英、EU離脱から3年 国民の55%「間違い」 恩恵感じられず


 英国の欧州連合(EU)離脱(ブレグジット)から31日で3年になる。通関手続きの復活やインフレの影響もあり、最近の世論調査では半数以上が「離脱は間違っていた」と回答するなど、その恩恵を感じられない国民も多い。英メディアには「離脱を後悔する」という意味の造語で、ブリテン(英国)とリグレット(後悔)を合わせた「ブレグレット」という言葉も盛んに登場している。

 英国は2016年の国民投票で離脱派が勝利し、20年12月31日に離脱を完了した。英国にとって今なおEUは最大の貿易相手だが、離脱後は英EU間で煩雑な通関手続きや国境管理が復活。英国の製造業団体「メークUK」の今月の貿易報告書によると、離脱後は製造業者の9割が対EU貿易に「支障が出ている」と答えた。税関での書類作業などが増え、スムーズな取引を阻害しているという。

 シンクタンク「欧州改革センター」のジョン・スプリングフォード氏はロイター通信に、対EU貿易における障壁の存在は、英国の「貿易、投資、GDP(国内総生産)に大きな打撃」を与えると指摘した。

 こうした中、近年の英国は記録的なインフレに直面している。22年10月には消費者物価指数(CPI)が前年同月比で11・1%上昇し、41年ぶりの高水準を記録。背景にはロシアのウクライナ侵攻に伴うエネルギー危機も指摘されるが、食品輸入の際にかかるコストの増加も「物価上昇に影響した」(英BBC放送)との見方がある。

 離脱の目的の一つだった「移民の削減」も実現できておらず、むしろ増えている。国境管理の厳格化で当初はEUからの移民を抑制できると予想されたが、近年はEU以外の香港やウクライナからの移民も多く、22年の「純移民」(入国移民と出国移民の差)は過去最多の74万5000人に達した。クレバリー内相は今月、入国ビザを厳格化する方針を表明した。

 英調査会社ユーガブの今年12月の世論調査では、離脱は「間違いだった」が55%に上り、「正しかった」(33%)を大幅に上回った。「ブレグレット」(英国の後悔)との言葉も盛んにメディアで報じられる。

 だが政界にはEU復帰を目指す雰囲気はない。遅くとも25年1月までに総選挙を控える中、離脱を推進した与党・保守党にとってEU復帰は「自己否定」につながるためだ。最大野党・労働党のスターマー党首も「EUとの関係は強化したいが、再加盟はしない」と繰り返し発言。総選挙を前に、支持者を分断させる論点の提示は避けたいのが本音とみられる。【ロンドン篠田航一】

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