自見英子万博担当相が22日、自民党二階派からの退会を表明したことに対し、同派の武田良太事務総長は「(退会届を)受理していない」とのコメントを発表し、派内の混乱が浮き彫りになった。二階派は二階俊博会長が党幹事長を退いた2021年以降、所属議員の減少傾向が続いており、新たな「退会」に神経質になっているようだ。
自見氏は記者会見で退会理由について二階派が政治資金パーティー問題で強制捜査を受けたことを挙げ「(閣僚の)職責を全うするに当たり必要な判断だ」と説明した。退会届の提出に先立ち「幹部の先生方に相談し、了解いただいた」としたが、武田氏は「退会届は受理していない。派閥幹部への相談もない」と否定コメントを発表し、「円満退会」にはほど遠い様子をうかがわせた。
小泉龍司法相と中野英幸法務政務官も20日に二階派から退会したが、検事総長への指揮権限を有する法相は派閥と距離を置いておくべきだと考えたためで、二階派幹部と相談の上での判断だった。関係者によると自見氏もこの前後から水面下で退会を模索していたが、同派幹部は「法務行政と関係がない」と慰留していたという。政府高官も「法相は分かるが、自見さんは個別の事情が違うのでは」と困惑の表情を浮かべた。
自見氏の退会が認められると二階派にとって今年6人目の退会者となり、所属議員数は37人に落ち込む。派内には「自見氏の行動で他の副大臣、政務官も派閥をやめなくてはいけない、という話になりかねない」と不安視する声もある。【小田中大】