共同通信の元ソウル支局長2人、計6000万円着服 懲戒解雇

　共同通信社は8日、ソウル支局の会計処理で生じた為替差益をため込み着服したとして、当時ソウル支局長を務めていた50代と40代の外信部次長2人を懲戒解雇したと発表した。得ていた差益は計約6000万円で、2人は社が経費と認めた一部を除く計約5780万円を返還しており、警察に被害届は出さない方針。

　また、当時の外信部長や財務部長ら4人を戒告とした他、水谷亨社長ら5人が報酬の一部を返上する。

　同社によると、50代次長は2012年4月～18年2月、本社から支局に毎月送金される運営資金をウォンに両替した際、実際より低い交換レートで会計報告し、差益計約3230万円を得た。後任の40代次長も同様の手法で、18年2月～22年8月、差益計約2780万円を得ていた。

　着服は社内調査で発覚。聞き取りに対して2人は事実関係を認め、謝罪しているという。再発防止策として、近く社内にガバナンス室を新設する。

　同社の江頭建彦総務局長は「悪質な不正行為で、着服額も極めて多く、重い処分が相当と判断した。これまで以上に職員の規範意識を高め、社のガバナンス強化に努める」とのコメントを出した。【加藤佑輔】