堺市の市立中学校で2021年、当時1年の女子生徒が男子生徒6人からいじめを受けて約半年間不登校になった事案があり、市は23日、第三者委員会の調査報告書を市ホームページで公開した。報告書はいじめと不登校の因果関係を認め、学校と市教委の対応の問題点を指摘した。
報告書によると、女子生徒は21年5月ごろからほぼ毎日、男子生徒らに容姿について「顔がきもい」と言われたり、弁当を見て「ごはんがまずそう、冷凍食品ばかり」などと言われたりした。また校区外の他小学校出身であることについて「受験失敗組」などと言われた。
女子生徒は学校が同年7月に実施した生活アンケートで「あだ名が『サル』といわれることが今でもある」と記し、担任は生徒から話を聞いたが踏み込んだ対応をしなかった。生徒は2学期から学校に行くことができなくなり、保護者に「死にたい」と口にするようになった。
報告書は、女子生徒のアンケートの記載を受け「アセスメントに基づく具体的なプランを立てる視点が乏しかった」と学校の対応を批判した。より効果的ないじめ認知につながるようにアンケートのひな形作成を検討するように市教委に提言した。
女子生徒は22年2月以降はおおむね登校することができているという。女子生徒の父親は毎日新聞の取材に「学校ではいじめはなかったようになっていて、報告書公表と同時にすべてが終わるような気がして心配だ。提言を今後に生かしてほしい」と話した。【高木香奈】
