「スタイリッシュで美しい」「気分が上がる」――。華やかさと快適さを兼ね備えた男性用の総レース下着がじわりと人気を集めている。男性たちからの支持を得て、下着でもジェンダーレス化が進みつつあるようだ。
ワコールがレースでできたボクサーパンツ「レースボクサー」（希望小売価格3960円）を発売したのは2021年。約3カ月分の販売予定枚数を10日間で完売した。23年春夏シーズンは前年同期比約3・7倍の販売枚数と異例のヒットを記録し、同社の男性用下着ブランド内でトップだった。
旺盛な需要を受け、同社は今年9月に同素材のブリーフパンツ「レースブリーフ」（同3630円）を投入した。発売1カ月で同社の計画比約1・3倍と好調な滑り出しだという。
ワコールは女性用下着で培ったレースの知見を生かし、消費者が求める「男性らしさ、女性らしさにとらわれない男性の美意識」に着目して企画したと説明する。これまで「女性のもの」とされてきた化粧やエステが男性にも広まりを見せる中、下着分野でも、男性たちに自由に選ぶ楽しさなどを提供する。
レースは柔らかな肌当たりでストレッチが利き、生地の強度を上げたオリジナル素材を採用。花柄や幾何学模様を組み合わせて、甘すぎない柄にするなど男性でも挑戦しやすいデザインを意識した。使い勝手の良い黒、紺、赤色といったベーシックな色を基本としつつ、ボクサー型では紫やピンクなど華やかな色も用意し、好きな色を選べるようにした。
機能性もウリだ。レースは通気性がよく長時間はいても蒸れない。裾部分に縫い目がないことから、スラックスなどに裾のラインが出ないなどの利点もある。
購入者は20～60代と幅広く、40代が最も多い。同社には「はき心地がよい」「色違いで複数購入した」といった声が寄せられているという。家族など親しい人へのプレゼント需要もあるという。【嶋田夕子】
