ロシアのプーチン大統領は5日、核弾頭を搭載できる原子力推進式巡航ミサイル「ブレベスニク」の発射実験に成功したと明らかにした。これまでに米国のミサイル防衛（MD）システムを突破する新型兵器として開発中であることを公表しており、ウクライナへの軍事支援を巡って対立を深める欧米への新たなけん制材料になるとみられる。
プーチン氏が、露南部ソチで国内外の有識者が集まる「バルダイ会議」に出席して演説し、会場の質問に答えた。ブレベスニクを巡っては、2018年にプーチン氏が連邦議会で開発を進めていることを発表していた。また、射程約1万8000キロの多弾頭の次世代型大陸間弾道ミサイル（ICBM）「サルマト」の開発を終え、近く量産し実戦配備する考えも示した。サルマトも米国のMDシステムを突破して米本土を攻撃できるとされている。
バルダイ会議では、核兵器の使用を巡っても発言。ロシアの軍事ドクトリンにのっとり、ロシアに対する核攻撃や、通常兵器であっても国家の存在が脅かされるような場合には核兵器を使う可能性があると強調した。ただ、「国家としてのロシアが脅かされるような状況は今存在しないし、まともな人間であればロシアに核兵器を使おうとは思わないだろう」とも述べた。
一方で、「核実験の再開を望む声を聞いている。ただ、核実験を行う必要があるかどうかはまだ言える段階にはない」と話し、核実験全面禁止条約（CTBT）をロシアが署名・批准しているのに対し、米国が署名のみで批准していない点を指摘。「ロシアがCTBTの批准を撤回することも理論上は可能だ」と述べ、将来的な核実験の再開に含みを持たせた。【山衛守剛】
