三重県の外郭団体「県厚生事業団」が運営する障害者施設「県いなば園」(津市)で、職員が入所者に暴行した疑いがあることが1日、園と県への取材で分かった。園は身体的虐待の疑いがあるとして8月28日、県と入所者が居住していた自治体に通報し、事実確認を進めている。
園によると、同月25日に内部通報があった。施設の廊下に設置されている防犯カメラを確認したところ同月20日、職員が重度知的障害のある成人の入所者に暴行している様子が映っていたという。入所者の脇腹にはあざがあった。精密検査したところ、骨に異常はなかった。園はこの職員を休職させ、虐待防止委員会を開いて職員や入所者に聞き取り調査している。
園では、知的障害のある子どもから高齢者まで約150人が生活している。2021年9月には、入所児童に職員が日常的に厳しい言葉を浴びせていたとして、県が心理的虐待と認定した。これを受け園は22年3月に「虐待防止改善計画」を策定し、再発防止を目的に弁護士などの外部有識者を交えた委員会を開いていた。園の担当者は「力不足だった。行政による調査に協力し、内部調査を進める」と話した。
県障がい福祉課によると、虐待の有無の認定は今後、入所者が居住していた自治体が行う。担当者は「虐待が認められた場合には県も施設に対し厳しく指導していく」と述べた。【寺原多恵子】