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「僕が第1号に」 SASUKE完全制覇者が見つけた第二の目標


 TBSの人気番組「SASUKE」(サスケ)に20回連続で出場中の漆原裕治さん(45)は、40回大会を数える番組史上2人しかいない2度の完全制覇者だ。中高生向けローファーで知られる靴メーカー「ハルタ」の営業マンとして多忙な中、トレーニングを積み続けている。やる気を維持する秘訣を尋ねた。【聞き手・李英浩】

◇4回目の挑戦で初制覇

 ――サスケは壁をよじ登ったり、回転するバーをよけて進んだりと、四つのステージにあるさまざまな障害物を乗り越えながら、時間内にゴールを目指す過酷な内容です。挑戦のきっかけは?

 ◆元々、運動が好きだったので、1997年に番組が始まった頃、テレビを見ながら「自分も出てみたいな」と思っていました。参加の応募を始めたのはハルタの工場に勤めていた20代の頃。番組の関連イベントや、一般参加者を選ぶ「予選会」への参加を重ね、2008年秋の21回大会で初出場できました。

 最初のステージで脱落してしまいましたが、翌年の大会ではクリア直前までいけたんです。手応えを感じて、乗り越えられなかった障害物の練習や、足りないと感じた部分のトレーニングを積んで、4回目の挑戦で完全制覇を達成できました。

◇「あと何回挑戦できるだろう」

 ――自分が置かれた状況によって、モチベーションや緊張感も異なるのですか。

 ◆初出場の時は、注目もされていなかったので「どこまで行けるだろうか」と、今より気軽な気持ちで臨めました。ただ、完全制覇を経て周囲の期待が高まると、プレッシャーを感じるようになりました。最近は年齢を重ね、練習量を増やさないと追いつかなくなっているので、「あと何回挑戦できるだろう」という若い頃とは別の重圧を感じます。

◇不安は練習量次第

 ――不安やプレッシャーをどう克服していますか。

 ◆本番で不安を感じるかどうかは、それまでにどれだけの練習を積めたかにかかっていると感じます。「自分はこれだけやってきたんだ」という自信を持って臨めた時とそうでない時とでは、スタート台に立った際の安心感がまるで違います。

 クリアに制限時間があり、1秒未満を争う状況で、思い切って勝負できるかどうかも、練習量に裏打ちされた自信の大きさにかかっています。限られたチャンスのために長期間の準備を積む点では、学校の入試にも通じる感覚なのかもしれません。

◇職場の階段を上り下り

 ――普段はどの程度、トレーニングを積んでいますか。

 ◆平日の朝晩、勤務先の社屋を使わせてもらい、トレーニングをしています。始業前は階段を上り下りするなど足腰を鍛え、終業後は、屋上に置いていある器具で、腕や指など上半身の練習に充てています。サスケは好きですが、家庭や仕事も大事にしたいので、休日に時間を取ってジムへ鍛えに行くような方法は取っていません。

◇「どうやる気を出そうか」と考えない

 ――仕事をしながら毎日続けるとなると、やる気を維持するのも大変ではないですか。

 ◆毎日やるのが当たり前になっていますし、とりあえず始めてみると、体がついてくるんです。「やりたくないな」と思う日もありますが、始めたら意外と気分が乗ってきたり、楽しいと感じたりすることもあります。「どのようにやる気を出そうか」と考える前に、手をつけてから考えるようにすることが、毎日続けるコツだと思います。

◇3度目の完全制覇「考えられない」

 ――近年はサスケを基にした番組が米国など海外で人気を博し、世界的な注目も高まっています。今の目標はやはり「3回目の完全制覇」ですか?

 ◆正直なところ、今の僕に「3回目」は考えられません。現在の最後のステージは、僕にとってあまりに難しすぎる。仕事以外の全てをサスケにささげるような生活を送っている人でなければ、クリアできないんじゃないでしょうか(笑い)。

 実は2度目の完全制覇を10年以上前に成し遂げて以降、一度も最後のステージにたどり着けていないんです。番組史上、40代でその舞台に立った人は誰もいないので、自分が「第1号」になってやろうという思いがあります。年を重ねても、自分の中で目標を設定して挑み続けたいと考えています。

◇好きだから続けただけ

 ――強いモチベーションを持ち続けられる何かを見つけるのは、簡単ではなさそうです。

 ◆難しく考えなくていいと思います。たとえば僕が高校に入学した時、中学時代と同じように体操部に入ったんですが、部員不足ですぐに潰れてしまったんです。それでも、気の合う友達同士で集まってトレーニングを続けていました。サスケ参加の応募を始めた20代の頃は、選考に落ち続けましたが、仕事終わりに毎日、懸垂などの筋トレをしていました。

 どちらも、明確な目標を持っていたわけではありません。ただ、体を動かしたり鍛えたりするのが好きで、続けていただけです。その程度の「好き」でいいと思います。そして、好きなことが見つかったら、とにかくずっとやり続ける。

 僕の場合は、それがうまくサスケに結びつきましたが、仮に何の結果ももたらさなかったとしても、好きであれば趣味として楽しみ続けられると思うんです。好きなことに打ち込み続けて損はないと思います。

うるしはら・ゆうじ

 1978年、東京都生まれ。都立本所工業高校卒。サスケは第24回(2010年)、第27回(11年)の2大会で完全制覇を達成。現在はハルタ販売部(東京都台東区)で営業係長を務める。自身のユーチューブチャンネルで、サスケ仲間を招いたトレーニングの様子などを配信する。今年開催の第41回大会にも出場予定。妻、娘2人との4人暮らし。

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