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北海道・蘭越の蒸気噴出 三井石油開発、抑制作業着手 ポンプ注水へ


 北海道蘭越町の地熱発電の調査現場で蒸気が噴出した問題で、事業者の三井石油開発(東京都千代田区)が7日、噴出抑制作業に着手した。蒸気の向きを変えて作業現場を確保した後、10日から注水して温度を下げ、蒸気を抑える計画だ。現場は地熱発電の有望な候補地の可能性が高いが、周辺開発には地元の理解を得られるかが鍵を握りそうだ。

 同社によると、蒸気は6月29日、井戸を深度約200メートルまで掘った時点で噴出した。地表の噴出口付近の温度は約80度で、8月7日は蒸気の向きを変える装置を横からスライドさせる方式で取り付けた後、ポンプでの注水に向けた作業を進めた。

 蒸気噴出の詳しい理由は分かっていないが、道立総合研究機構エネルギー・環境・地質研究所によると、掘削中に火山性の熱水や蒸気の層か、そこにつながる亀裂に当たった可能性があるという。昨年8月には長万部町でも水柱が噴出したが、この原因は地下の天然ガスの圧力だった。

 温泉の掘削結果などから推定される地熱の等温線を地図に落とした道の地温勾配図によると、現場付近は最も高い「10」の等温線で囲まれており、深度100メートルごとに地温が10度上がることを意味している。全国平均では同3度上昇する。等温線表記は10までだが、局地的には同15~30度上昇する場所もあり、地熱発電などで活用されているという。

 同社は深度700メートルまで掘り下げた時点で、噴出発生時に井戸を密閉できる防噴装置を取り付ける計画だった。深度200メートルでの蒸気噴出は想定外だったとみられるが、同社広報は「どのような想定で調査を進めていたかは明らかにできない」としている。

 現場は蒸気を抑制した後、セメントなどで埋め廃坑にする。同社によると、周辺の開発計画は現時点では未定という。地熱発電は再生可能エネルギー普及の主力の一つとして国や道が後押しするが、今回の事態では硫化水素による住民の健康被害の公表が遅れ、同社が地元の不信を招く結果となった。蘭越町は「噴出から1カ月以上経過しているので、まずは関係機関と協力して蒸気を止めてもらい、問題解決後に今後の展望を話し合っていきたい」としている。【石川勝義】

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