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三幸製菓、6人死亡火災の工場に慰霊碑建立 遺族の姿なく 新潟


 昨年、6人が死亡した火災があった米菓製造大手「三幸製菓」の荒川工場(新潟県村上市)に5日、慰霊碑が建立された。碑には「事故を防ぐに至らなかった悔恨の念を胸に刻み、安全は全てに優先することを誓い、ここに銘記する」――との文章が刻まれた。この日の建立式では藤元保代表取締役最高経営責任者(CEO)が事故の風化や再発防止を誓い、謝罪の言葉を述べた。だが、犠牲者6人の遺族の姿はなかった。【内田帆ノ佳】

 火災は昨年2月11日深夜に発生。いずれも清掃担当のアルバイト従業員の女性4人と男性社員2人が犠牲となった。

 この日、同工場で行われた建立式には、役員や製造関連の責任者ら10人が参列。約20分間の式典で佐藤CEOが「安全の誓い」を読み上げ、「亡くなられた6名の従業員の尊い命、遺族の気持ちを決して忘れず、未来永劫にわたって事故を風化させずに全従業員が一丸となって安全を優先し信頼回復に全力を尽くす」と述べた。

 建立式の後、佐藤CEOは報道陣の取材に答え、「慰霊碑を建てたからといって償いは終わらない。今後も遺族の皆さまへのお詫びと再発防止策を継続することが努め」と語った。慰霊碑の建立は同社側から遺族に提案した。佐藤CEOは「当初、会社で勝手に決定した印象を与えてしまい(遺族から)批判があった。お詫びしてご理解いただいた」と説明した。

 同社によると、慰霊碑(幅約3メートル、高さ約2メートル)は火災現場となった「F棟」の跡地に設置。一般に開放し自由に参拝できる。石碑の形や碑文の内容については1年以上前から遺族と協議を重ね、今春着工した。担当者は「時間をかけて遺族の方と話し合い、『安全の誓い』の言葉や表現に関して意見をいただいた」と話した。

 だがこの日、犠牲者の遺族は参列せず、悲しみの深さをうかがわせた。犠牲者の1人の男性社員の父親は4日、毎日新聞の取材に応じた。息子の生前には帰省の連絡がある度に雪の中、工場まで車を走らせ迎えに行ったという。「今はもう『休みだから迎えに来て』と言ってくれる本人はいない」とつぶやいた。

 そして「息子なら、きっと『無理して来なくていいよ。大丈夫だよ』と言うだろう。(建立式に)行ったとしても手を合わせて帰ってくることしかできないからね」と胸のうちを語った。同社によると、遺族全員が後日、個別に慰霊碑のあるF棟跡地を訪ねる意向を示しているという。

 火災を巡っては、県警が経営陣らへの事情聴取を行うなど、業務上過失致死傷容疑での立件を視野に、捜査を進めている。

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