starthome-logo 無料ゲーム
starthome-logo

エキストラは約9万人 "幻"の映画「ひろしま」上映 東京


 9万人近い広島市民がエキストラ出演した映画「ひろしま」(1953年・関川秀雄監督)が30日、東京都八王子市北野町の北野市民センターで上映される。原爆関連資料や遺品を展示する「八王子平和・原爆資料館」の主催。映画の監督補佐だった小林大平さんの孫で上映活動を続ける八王子市内在住の開さん(50)は「映画製作70年にもあたる今年、何としても被爆の現実を伝えようとした映画を知ってほしい」と話す。

 映画は被爆した子どもたちの文集「原爆の子」(長田新編)が原作で、広島市出身の月丘夢路らが出演。原爆投下直後の混乱を、被爆者を含む約8万8000人のエキストラの市民が再現した。55年にベルリン国際映画祭長編映画賞を受賞したが、一部場面の削除を巡り製作側と折り合わなかった大手配給会社が国内で上映せず、「幻の映画」と呼ばれた。

 映画プロデューサーの開さんは、2008年に再上映活動を始めた父一平さん(15年死去)の遺志を継承。17年に鮮明な映像のデジタルリマスター版を完成させ、19年には英語字幕版も作った。

 上映会を主催する八王子平和・原爆資料館は1997年に開設。被爆者の手記など2000冊以上の書籍や被爆死した中学生の衣服などを保管し、入館無料で週2日開いている。

 一平さんの死後、八王子に引っ越してきた開さんは同資料館の存在を知り、協力して被爆の実態を伝えようと互いに話し合ってきた。新型コロナウイルス禍などで難しい状況が続いたが、ロシアによるウクライナ侵攻などを受け「今こそ上映を」と今回実現した。

 同資料館共同代表の杉山耕太郎さん(73)は「5月に広島サミットもあったが被爆の実相は十分伝わっておらず、今こそ多くの人に見てほしい」。開さんは「原爆投下からわずか8年後、大勢の広島市民が被爆死した家族らへの思いも込めて参加し、有名俳優がそれに応えた二度とつくれない映画。当時は朝鮮戦争、現在はウクライナ侵攻で70年たっても核の脅威が現実味を帯びる中、映画の持つ力に触れてもらいたい」と話している。

 上映は当日午後2時から、資料代500円(高校生以下無料)。事前申し込みは不要。問い合わせは杉山さん(090・1128・8983)。【野倉恵】

    Loading...
    アクセスランキング
    game_banner
    Starthome

    StartHomeカテゴリー

    Copyright 2024
    ©KINGSOFT JAPAN INC. ALL RIGHTS RESERVED.