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保護グマのクロちゃん天国へ 飼育32年、人間なら100歳超え


 山形県鶴岡市の月山のふもとで保護され、民家で飼育された雌のツキノワグマ「クロちゃん」が天国に旅立った。32歳で人間なら100歳を超えるという。30年余り育てた同市の元大学職員、佐藤八重治さん(80)は「賢くおとなしいクロと家族同様に暮らせて幸せだった」と懐かしむ。

 1991年4月、佐藤さんが猟師仲間5人と出かけたクマ狩りで、親グマとはぐれているのを見付けた。当時は生後約2カ月とみられ、体重は2キロ程度。「見捨てれば死ぬのが分かったので、ほっとけなかった」。リュックに入れ、抱えるように連れて帰った。

 自宅内に鉄製のおりを準備して飼育に必要な保健所の許可を取得。哺乳瓶でミルクを与え、離乳後はそうめんや果物を食べさせるとどんどん成長し、体重は130キロまで増えた。

 おとなしい性格で、タイヤを運んで木の枝に入れる芸も覚えるなど賢かったという。地元の保育園児が見学に訪れたり、一時は会員約1000人が集まるファンクラブが結成されたりして人気者だった。

 30歳を過ぎた2022年ごろから歯が抜けて食が細くなっていき、今年7月1日、佐藤さんに見守られるようにして死んだ。山ブドウ畑に囲まれた持ち山に埋め、墓標を立てた。届いた弔電を持参しては「クロや」と呼び掛け手を合わせる。

 佐藤さんがいま気にしているのは、人とクマのすみ分けのための被害対策を講じてほしいということだ。連日のようにクマが出没し、駆除されたとのニュースを目にすると「切ないね」。人命最優先は当然とした上で、山との境の河川敷の下草刈りなど、クマが里山に下りてくるのを防ぐような対策も同時に進めてほしい。心の中で、そうクロに語りかけるつもりだ。【長南里香】

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