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「100%犯人だ」自白迫る捜査官 リベンジポルノ誤認逮捕の内幕


 大阪府警が20代男性を2回誤認逮捕した問題で、男性の代理人を務める森島正彦弁護士(大阪弁護士会)が11日、毎日新聞などの取材に応じた。男性は取り調べの際、検事や警察官から「犯人だ」と決めつける発言を繰り返されていたという。男性は42日間勾留されており、森島弁護士は「自白を迫る人質司法だ」と批判。府に損害賠償を求める訴訟を起こすことも検討するとしている。

 府警によると、最初の誤認逮捕は4月12日。知人の20代女性に危害を加えるメッセージをSNS(ネット交流サービス)で送ったなどとして、守口署が脅迫や強要未遂の疑いで男性を逮捕した。5月2日には、女性のわいせつ画像をSNSで女性の友人らに送ったとするリベンジポルノ防止法違反の疑いで同署に再逮捕された。送信者のIPアドレス照会は済んでいなかったが、男性から送信されたものだと女性が訴えたことや、女性を守る緊急性を重視したことが逮捕の決め手となった。

 森島弁護士によると、男性は5月23日に処分保留で釈放されるまで一貫して容疑を否認。「身に覚えがない」と訴えたが、聞き入れられなかったという。取り調べを担当したのは守口署の刑事課員や生活安全課員。男性はノートにその様子を記録しており、「犯人はあなたしかあり得ない」「正直に言わないと心証が悪くなる」などと高圧的な取り調べを受けたとされる。大阪地検の検事も「100%犯人だと思っている」と言ったといい、ノートには「つらかった。過呼吸になった」と記されていた。

 府警が誤りを認めたのは7月10日。釈放後の捜査で男性のアリバイが明らかになり、府警幹部が男性に謝罪して誤認逮捕を発表した。男性側が府警から受けた説明によると、女性にメッセージや画像を送ったSNSのアカウントの一つが3月21日、大阪北部の北摂地域で何者かが開設したものと判明したという。その時間帯に男性は大阪市内におり、事件とは無関係と分かった。わいせつ画像も女性の写真を使った合成写真だったとの説明もあった。

 男性は会社員をしているが、逮捕後に休職を余儀なくされている。今後、大阪地検が「容疑なし」で不起訴処分にすれば、法務省の規定に基づいて身柄拘束の補償として1日1000円以上1万2500円以下を受け取れる。男性は、取り調べを担当した署員による直接の謝罪を求めているといい「捜査上のミスを検証し、家族や会社にも説明してほしい」と府警幹部に訴えているという。

 大阪地検の北岡克哉次席検事は今回の誤認逮捕を受け「不正な点があったとは考えていないが、結果的に犯人でない方を勾留してしまったことは申し訳なく思っている」とのコメントを出した。【土田暁彦】

十分な証拠なかったからでは

 園田寿・甲南大名誉教授(刑法)は、府警は被害を訴える女性の保護を優先して男性を逮捕したのだろう。だが発信元の特定が間に合わず、誤認逮捕をしてしまった。取り調べについても、十分な証拠がないから自白を迫る方向に流れてしまったのではないか。府警は誤認逮捕を認めた以上、なぜ間違ったのか検証して説明すべきだろう。公表している内容では不十分だ。

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