
2020年4月に群馬県高崎市の土屋翔雅(しゅうが)ちゃん(当時4歳)が預け先の夫婦の自宅アパートで死亡した事件で、傷害と傷害致死の罪に問われた無職、高原一貴被告(30)は3日、前橋地裁(橋本健裁判長)で開かれた裁判員裁判の初公判で「(傷害致死について)自分はしていない」と起訴内容の一部を否認した。傷害罪は認めた。【日向梓】
検察側は冒頭陳述で、高原被告は妻の千夏被告=同罪などで起訴=と結婚した後も翔雅ちゃんの母親と交際を続け、母親から受け取る現金で生活していたと指摘。母親が仕事で県外に行った20年3月10日から夫婦で世話をするとして翔雅ちゃんを預かったが、実際には食事も十分に与えず、洗濯や入浴、おむつ交換も不十分のままだったとし、夫婦は継続的に翔雅ちゃんを暴行したと訴えた。翔雅ちゃんの全身には73のあざがあったことも明らかにした。
弁護側は傷害致死罪について「高原被告は暴行を加えておらず、妻の千夏被告と共謀もしていない」と主張。高原被告が捜査段階で容疑を認めたのは、県警の過酷な取り調べから逃れ、千夏被告をかばいたいという気持ちからだったとした。さらに前橋地検が両被告について21年3月31日付で一度は不起訴処分としたことに触れ、「供述の信用性を慎重に検討する必要がある」と争う姿勢を見せた。
起訴状によると、高原被告は20年3月20日ごろ、高崎市の自宅アパートで翔雅ちゃんの右顔面を殴ってけがをさせた。また4月22日、千夏被告と共謀し翔雅ちゃんの頭や腹に暴行を加え、翌23日に外傷性ショックで死亡させたとしている。