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海底のタイタニック号を探して行方不明に 潜水艇に大富豪ら乗船


 北大西洋の海底3800メートルに沈む豪華客船タイタニック号の探索中に行方がわからなくなった潜水艇に、英国とパキスタンの大富豪らが乗船していると複数の英米メディアが報じた。現場では米国とカナダの沿岸警備隊による捜索活動が続いている。深海は「地球最後のフロンティア」と呼ばれるが、研究開発のみならず、宇宙旅行と同じようにお金を払えば誰でも行ける時代を迎えつつある。

 米国のオーシャン・ゲート社の潜水艇「タイタン」(全長6・7メートル)は18日に潜航し、1時間45分後に信号が途絶えた。5人が乗船し、1人あたり25万ドル(約3500万円)を払ったツアー客が少なくとも3人含まれていたとみられる。

 米紙ニューヨーク・タイムズや英公共放送BBCによると、3人のうち1人は、プライベートジェットなどを運航する英国のアクション・アビエーションを創業したヘイミッシュ・ハーディング会長。元パイロットの探検家としても知られ、米アマゾンの創業者ジェフ・ベゾス氏が起業した宇宙開発企業ブルー・オリジンのロケットで宇宙旅行も経験している。

 パキスタン人の実業家シャザダ・ダウッド氏と息子のスルマン氏も乗っていた。ダウッド氏は化学メーカーの副会長でパキスタン有数の富豪として知られる。

 このほかの乗船者は、オーシャン・ゲート社の最高経営責任者(CEO)と、タイタニック号の沈没現場に35回以上潜った経験があるフランスの海洋専門家、ポール・アンリ・ナルジョレ氏。

 タイタンは水深4000メートルまで潜水できる。米東部時間20日午後(日本時間21日未明)に記者会見した米沿岸警備隊の担当者は、潜水艇内には5人が40時間命をつなぐだけの酸素が残っているとみられると述べた。上空からを含む大規模な捜索は20日も続いた。

 オーシャン・ゲート社は8日間のタイタニック号の探索ツアーを企画していた。ホームページによると、18歳以上から参加可能で、資格や経験などは不問としていた。昨年、取材でタイタンに乗った米CBSのデービッド・ポーグ記者は同局の番組で、電気が途絶えても乗員が意識を失っても潜水艇は海底から浮かぶはずだと説明。タイタンは地上でも内側から開けることができないといい、「彼らを見つける必要がある」と強調した。浮かんでこない場合は、何らかの理由で船体が破壊された可能性があるとの見方も示した。

 「深海旅行」への関心は高まっており、2020年には米企業が地球で最も深い場所であるマリアナ海溝のチャレンジャー海淵(約1万900メートル)への商業潜航を1人あたり75万ドルで販売した。【ニューヨーク八田浩輔】

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