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異例の実刑判決、裁判長が述べた理由 軽井沢のスキーバス事故


 2016年1月に長野県軽井沢町で大学生ら15人が死亡、26人が重軽傷を負ったスキーバス事故で、長野地裁(大野洋裁判長)は8日、業務上過失致死傷罪に問われた運行会社「イーエスピー」(東京都羽村市)社長の高橋美作(みさく)被告(61)に禁錮3年、運行管理者だった荒井強被告(54)に禁錮4年(求刑・いずれも禁錮5年)の実刑判決を言い渡した。判決は2被告の無罪主張を退けた上で「利益の確保を優先して輸送の安全を軽視し続けた結果、本件事故を引き起こした」と述べた。

 こうした死傷事故で、直接の運転者ではない管理者が実刑判決を受けるのは異例。バスの運行管理者の安全対策について強く警鐘を鳴らす判決内容となった。

 判決はまず、土屋広運転手(死亡)の運転技量の不十分さが直接の事故原因だと指摘。採用面接の際に運転手が「約5年間大型バスを運転していない」と述べたことなどから、2被告が運転手の技量不足を認識していたと判断した。

 その上で「運転手の技量が不十分なままツアーバスの運転をすれば、死傷事故を起こす可能性があることは予見できた」とし、両被告について「必要な訓練をせず、運転技量を確認しないまま運転手をツアーに従事させており、刑法上の注意義務を怠っていたことは明らかだ」と述べた。

 同社については「監督官庁から法令違反の指摘を受けてもずさんな運行管理を改めなかった」と批判。荒井被告に対して「過失は悪質かつ非常に重大」、高橋被告に対しては「ずさんな運行管理を漫然と放置した」と非難した。

 また、大野裁判長は量刑の理由を述べる際に「命を奪われた大学生の中には卒業と就職を目前に控えた者もおり、無限に広がる未来を一瞬にして閉ざされた無念さは察するに余りある」と言及。同社が犠牲者全員を含む被害者36人に民事上の賠償を済ませたことを踏まえた上でも実刑が相当と結論付けた。【井上知大、鈴木英世】

軽井沢スキーバス事故

 2016年1月15日未明、長野県軽井沢町の国道18号碓氷バイパスで東京からのスキーツアーバスが道路脇の崖下に転落。大学生13人と運転手2人の計15人が死亡、26人が重軽傷を負った。国土交通省が委託した事故調査委員会は、運転手が下り坂で操作を誤ったと判断。運行会社については法令で定められた適性診断を受診させていなかったなどの問題点を指摘した。

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