台湾の蔡総統、任期最終年に 「海峡の現状維持が平和のカギ」

　台湾の蔡英文総統は任期最後の年に入った20日、台北市の総統府で記者会見し、2期8年にわたる政権の総仕上げに向けて意気込みを語った。中国との関係について「平和は両岸（中台）の唯一の選択肢であり、各方面の最大公約数として現状を維持することが平和を守るカギだ」とあらためて強調した。

　蔡氏は記者会見で、2016年の政権発足以来「我々は台湾のありようを大きく変えた」とし、今年後半に初の台湾製潜水艦が進水することなどを挙げ、「『自主防衛』はもはや夢物語ではない」と主張。中台の対等な対話や健全な交流の重要性に触れるとともに、「平和は膝を屈して手に入れるものではない。平和を守るにはまず自らを強くすることが大切だ」と述べた。

　民進党の蔡氏は16年の総統選で国民党などの候補を破って政権交代を実現し、20年に再選を果たした。憲法の規定で総統は連続2期までとなっている。【台北・林哲平】