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不便、冷たい…流したい記憶 令和の大改修に愛知県庁職員が歓喜?!


 その建物は国の重要文化財に指定されている。だが働く職員には切実な悩みがあった。名古屋城の近くにある愛知県庁本庁舎(1938年完成)。実は建物だけでなくトイレも古く、過半数が和式だった。このほど約20年ぶりとなる大改修が決まり、喜びや安堵(あんど)の声があがっている。

 「女性トイレは午後0時半過ぎから特に混雑します。洋式トイレに並んだり、歯磨きする人と洗面台を譲り合ったり……」。こう話すのは本庁舎で勤務して4年目になる女性職員(27)。

 混み合う昼休みは数少ない洋式を巡って順番待ちの列ができる。手洗い場も狭く、トイレ前の廊下で歯を磨く職員もいる。県政の取材を担当している記者にとって見慣れた光景だ。

 別の20代の女性職員も「古いトイレでは安らげない。来庁者もストレスを感じているのではないでしょうか」と顔をしかめる。

 約2000人の職員が働いている本庁舎は地下1階、地上6階建て。城郭風の屋根が目を引く建物は重厚感があり、映画やドラマの撮影にも使われる。

 トイレは主に各フロアの南北2カ所にある。大半は和式と洋式が各一つ、洗面台が二つとなっている。

 男女あわせて64ある個室トイレのうち男性用の4割強、女性用の約6割が和式。温水洗浄便座に至っては全体の2割に満たない。

 胃腸が弱い男性職員(47)は仕事中、「催したらどうしよう」という不安を常に抱えてきた。用を足した後、お尻の洗浄は欠かせないというが、勤務するフロアに温水洗浄便座は一つ。女性トイレに隣接した多目的トイレ内にあり、使いづらさを感じてきた。

 本庁舎のどこに温水洗浄便座があるか確認済みだが、使いたい時に空いていないことも。穴場は本庁舎の東側に隣接し、議場や県議の控室がある議事堂内のトイレだと教えてくれた。

 築85年の本庁舎と比べ、議事堂は築48年と比較的新しく、温水洗浄便座も設置済み。「議員の先生方がいるので行きにくいけれど……」。肩身の狭さを感じつつ議事堂へ通う日々だ。

 愛知県によると、県庁本庁舎のトイレを最後に改修したのは2002年度。これまで県立学校などの洋式化を優先してきたが、23年度予算に「トイレ改修調査設計費」として約1億2000万円を計上した。

 市原明財産管理課長は「洋式が少なく、不便を感じている職員の声を聞いてきた」と説明。洋式であっても、冬場に冷たい便座がお尻に触れるのは苦痛だとし「自分も息を止めて座っている」と苦笑いする。

 計画では男女とも洋式を2倍程度に増やし、温水洗浄便座を設置する。多様なニーズに配慮して和式も少しは残す。昼休みに混み合う洗面台も、配置を工夫して増設したいという。

 一方、隣の岐阜県では1月に新しい県庁舎が開庁した。女性トイレには、化粧直しができるスタイリングコーナーがあり、混雑の緩和につながっている。

 オストメイト(人工肛門利用者)対応トイレを14カ所に設置するなど、バリアフリーにも配慮している。来庁者向けに、授乳スペースや調乳用温水器を備えたベビーケアルームも用意し、充実の設備内容だ。

 これから“令和の大改修”が始まる愛知県庁の本庁舎。「つらい思いをしなくて済む」「遅すぎる」など、反応はさまざまだ。重文指定されているため、文化庁とも協議しながら改修を進め、工事を終えるまでに3年はかかる見込み。

 トイレが快適な空間に生まれ変わるのを、多くの職員が待ちわびている。【酒井志帆】

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