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人権DD法、日本も整備へ 政府、サミット議長国として遅れに焦り


 強制労働や児童労働などの人権侵害を防ぐために企業が自社のサプライチェーン(供給網)をチェックする「人権デューデリジェンス(DD)」。欧米では人権DDを罰則付きで義務づける法制化が進んでおり、日本でも超党派の議員連盟が欧米並みの法制化に向けて近く条文作りに着手する。背景には、19日から始まる主要7カ国首脳会議(G7サミット)の議長国でありながら、整備の遅れが指摘される日本政府の焦りもにじむ。

 人権DDは、自社や取引先企業が原材料の調達や生産、製造過程で人権侵害が起きていないかを調べ、問題があれば適切な対応をする取り組み。ビジネスをする上で人権DDは欠かせないとの認識が広がり、英国は2015年に年間売上高が一定規模以上の企業に取り組みの公表を義務づけたほか、ドイツも21年に罰則付きの法律を成立させた。米国は、中国・新疆ウイグル自治区での人権問題に特化して、関連製品の輸入を認めない法律を施行した。

 一方、日本は昨年9月、経済産業省が法的拘束力のないガイドライン(指針)を初めて策定したばかりで、対応の遅れが指摘されている。

 そんな中、「人権外交を超党派で考える議員連盟」は4月25日、国会内で役員会を開き、人権DDの実施を一定規模以上の企業に義務づける法整備を目指す方針を確認した。5月の大型連休明けに、政府への提言をまとめ、ワーキングチームを設けて具体的な条文作りに着手する。与党側の議連代表を務める自民党の長島昭久元副防衛相は「対象とする人権侵害の範囲や、サプライチェーンの範囲など、詳細を詰めていきたい」と語った。

 実は同議連は21年秋までに人権DD法案の原案をまとめていたが、政府がガイドライン策定に動いたために「お蔵入り」となっていた。関係者によると、この時期に再始動したのは、4月初旬に官邸幹部から議連幹部に対して「人権DDの法案の準備をしてほしい。政府とよく連携しながら進めたい」と働きかけがあったからだという。

 G7は15年から企業活動における人権問題を取り上げており、日本の取り組み姿勢も問われるが、日本はガイドラインを策定したばかりで「政府は動きにくい」(関係者)とされる。一方でLGBTQなど性的少数者への理解増進法案の意見集約も自民党内の反発でなかなか進まず、日本の人権への取り組みに厳しい視線が注がれている。自民中堅は官邸の意向をこう推し量る。「人権の分野で動かせるテーマを動かして、取り組み姿勢を内外に示したいのだろう」【村尾哲】

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