29日まで訪米中の韓国の尹錫悦(ユンソンニョル)大統領は28日、米ボストン近郊のハーバード大で講演し、学生らと懇談した。聯合ニュースによると、尹氏は日韓関係について「過去の歴史が整理されなければ一歩も進めないという考えからは抜け出さねばならない」と表明。未来志向の関係を目指す姿勢を改めて強調した。
尹氏は「未来への協力が、過去の歴史と関連した国民間の感情的な問題などを修復してくれると確信する」と訴えた。日本が28日に韓国を輸出手続きの優遇対象国に再指定すると発表したことを例示し、「このようなやり方で変化していく」と述べた。
アフリカ・スーダン情勢の悪化を受けて、日本人が国外退避した際、韓国政府が協力したことにも言及。「数カ月前までは考えられなかったことが今、起きている。多くの変化があると私は信じている」と語った。
尹氏は、自由や民主主義といった価値観を共有する米国や日本と連携していく姿勢を鮮明にしている。「自由への新たな旅路」と題したこの日の講演で、尹氏は「力による現状変更の試みに国際社会は決然と対応しなければならない」と強調した。核・ミサイル開発を加速させる北朝鮮や、ウクライナに侵攻したロシア、台湾などへの軍事的圧力を強める中国を念頭に置いた発言といえる。【ソウル坂口裕彦】