盗難被害に遭った善光寺(長野市)の「びんずる尊者像」が10日、本堂の台座上に戻された。5日ぶりに戻った像をなでようと多くの参拝者が訪れた。
触れると病気が治ると親しまれてきたびんずる尊者像は5日朝、盗難被害に遭った。約3時間後に長野県松本市内で長野県警が発見し、6日に善光寺に返還された。像に損傷は確認されなかったが、寺は防犯体制の見直しなどを実施。像の固定はしないが、動かしたことが分かるセンサーの設置や人員配置を工夫するなどし、公開が再開された。
10日は善光寺の僧侶が布にくるまれた像を本堂に運び、台座の上に安置。法要が営まれる中、布が外されて姿を見せた。林明晋寺務総長は「すぐにお帰りになり、大変安堵(あんど)している。多くの人に触ってもらい、痛いところを治してもらいたい」と話した。
びんずる尊者像の帰還を待っていた参拝者たちは本堂前に列を成し、法要が終わると次々と像をなでていた。長野市の伊藤ひで子さん(84)は新型コロナ禍もあり、像が戻ったことを機に久々の参拝。「お帰りなさい」と声を掛けながら像をなで「心配していたから本当によかった。足の調子がよくなってくれれば」と笑顔だった。【鈴木英世】