塩野義のコロナ薬「ゾコーバ」 5日分で5.2万円 9月末まで無料

　中央社会保険医療協議会（厚生労働相の諮問機関）は8日、新型コロナウイルス感染症の飲み薬「パキロビッド」（米ファイザー社製）と「ゾコーバ」（塩野義製薬製）の保険適用を了承した。薬価（薬の公定価格）は、患者1人5日間の投与でパキロビッドが約9万9000円、ゾコーバが約5万2000円とする。ただ、負担が急増しないようゾコーバやパキロビッドなど新型コロナ薬の患者負担は9月末まで無料を継続する。

　パキロビッドとゾコーバは現在、国が買い上げて医療機関向けに供給しているが、近く他の医薬品と同様の流通に切り替わる見通しだ。一般流通の開始は、新型コロナの感染症法上の位置づけの「5類」移行を見越した対応で、幅広い医療機関や薬局で治療薬が調達しやすくなる。

　新型コロナの軽症者向け飲み薬を巡っては、昨年9月、米メルク社製のラゲブリオが同じく薬価約9万4000円で一般流通に切り替わっている。ラゲブリオとパキロビッドは重症化リスクのある人向け、ゾコーバは重症化リスクのない人にも投与可能だ。

　感染の急拡大に伴って、投与対象が幅広いゾコーバの使用が大幅に増えた場合、特例的に薬価を切り下げることも了承した。【横田愛】