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川勝知事発言は「世の中の本音」 ”百姓”復権目指す農家の思い


 「百姓」という言葉の復権を目指している農家がいる。東京都練馬区で約350年続く野菜農家で白石農園代表の白石好孝さん(70)だ。ある辞書に載っていた「いなか者をののしっていう語」という意に怒りを覚えた。つい最近も農家をさげすむような発言をした知事がいた。「社会の中にある農業に対する差別的な位置づけを変えたい」。農家としてのプライドを持って、マイナスイメージの払拭(ふっしょく)を続ける。

 「野菜を売ったり、牛の世話をしたり、物をつくったりということと違って、みなさんは頭脳、知性の高い方たちです」。静岡県の川勝平太知事(当時)が4月1日の県新入職員への訓示で述べた言葉だ。

 野菜を生産・販売する白石さんはこの発言について「私たち農業の歴史の根底にはああいうものが流れていて、知事の発言は世の中の本音みたいなものがポロッと出ちゃったのかなと思う」と受け止める。

 白石さんは「辞書の説明が変わらない限り、誰が何を言っても変わらない」とも話す。そして、辞書が「百姓という言葉を差別的な用語だと捉えていることそのものが差別に当たる」と訴える。いつか辞書に「百姓とは、命と環境を慈しみ、生きる者の糧を生み出す仕事」などの意味が記されることを強く望んでいる。

 白石さん自身も、差別的な言動に直面した経験がある。白石さんの著書「都会の百姓です。よろしく」(コモンズ)にはこんな一節がある。

 「親父(おやじ)の作業を手伝っていたとき、タバコを吸いながらキャベツの葉に傘で穴を開けて喜んでいた高校生を注意すると、彼らは『ひゃくしょ~』と言いながら、逃げ去っていったのである。その言葉には、まさしく軽蔑の意味が含まれていた。当時の農業は辱められ、社会からないがしろにされていた」

 畑にいた際に「頑張って勉強しないと、あそこにいる人みたいになっちゃうよ」という子連れの親の声を聞いたこともある。

 白石さんは今もアスパラガスやトマト、ナスなど50~60種類の野菜を作っている。1997年から始めた農業体験農園「大泉 風のがっこう」は盛況で、毎年124組の家族らに対し、プロの農家として栽培のノウハウを伝えている。消費者とコミュニケーションを深めることが百姓復権につながると信じている。【山下貴史】

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