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「女子はスカート」に変化 広がるジェンダーフリー制服


 学校の制服といえば、「男子はズボン、女子はスカート」が一般的でした。しかし、このごろは「男子らしさ」「女子らしさ」という従来の価値観にとらわれず、選択の幅が広がりつつあります。全国で校則見直しの機運が高まる中、「ジェンダーフリー」の観点から多様性を尊重しようという社会の流れが背景にあるようです。【後藤豪】

ネクタイやリボンも自由に

 「男女にかかわらず、みんなで同じ制服を着ている感じがします。スカートにネクタイとか、スラックスにリボンとか、選択肢が増えてとても良いです」

 千葉県船橋市の市立行田(ぎょうだ)中2年の御栗由宇(みくり・ゆう)さん(14)は、新たな制服を試着して声を弾ませた。

 行田中では2023年4月、新しい制服が導入される。男女ともにブレザーとスラックスで統一しつつ、スカートをはきたければ指定のスカートでもよく、ネクタイやリボンも、それぞれの好みや気分に合わせて選べるようになる。

 男子は詰め襟の学ラン、女子はブレザーにスカートとしていた行田中では、19年度末から女子のスラックス着用を認め、21年末から女子はリボンだけでなくネクタイを着けてもいいことにした。選択肢を徐々に増やす中で、学校側と保護者が話し合いを重ね、全面リニューアルに至った。

校長「多様性考える一助に」

 この変更に際し、中心となって動いた永井恵教務主任(39)は、生まれつきの性別と性自認が異なる「トランスジェンダー」であることを公表している。それだけに、柔軟な発想で取り組んできたが、同時に教育現場での服装というバランスも大切にしたという。

 「制服を作るとなった時には、ある程度の枠組みを作らないといけません。その枠の中でどうやったら『自分らしさ』を表現できるか、その選択肢を用意できるかを考えました」

 大場雅俊校長(60)は「生徒の中には国籍が異なったり、支援を要したりする子供もいます。性別だけでなく、『多様性』を考える一助になってほしいです」と期待を込めた。

全国でも選択広がる 毎日新聞調査

 こうした動きは、行田中だけにとどまらない。毎日新聞が22年11~12月にかけ、47都道府県と全国20政令指定都市の計67教育委員会に実施した校則の見直しに関する調査の結果にも表れている。

 アンケートの中で、各教育委員会が把握している校則見直しに関する「具体的事例」を自由記述で聞いたところ「女子生徒のスラックス着用を選択可能にする」が11教委で最多だった。

 このほか、「制服の規定で男女別の表記をなくした」「LGBTQなど性的少数者の生徒に配慮した制服(にする)」など、ジェンダーフリーに関する記述が目立った。

「カミングアウトにならない工夫を」

 校則問題に詳しい名古屋大大学院の内田良教授(教育社会学)は、ジェンダーフリーを意識した動きが教育現場で進んでいることに関して「良い傾向だと思う」と評価した。

 その上で「学校は目に見えないプレッシャーや同調圧力が強く、他人と違うことをすると浮いてしまうことがあります。(例えば)スラックスを着用することで(性自認の)カミングアウトにならないようにするなど現場での工夫が必要です」と指摘した。

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