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リトアニア、エネルギーで「脱ロシア」=独立以来の悲願へ投資実る―EUの「教訓」に


 ロシアによる昨年2月のウクライナ侵攻で、エネルギー安全保障の危機に直面した欧州では、エネルギーのロシア依存からの脱却が進む。侵攻開始後に欧州連合(EU)内でロシアからの「エネルギー独立」をいち早く実現したのがバルト3国のリトアニアだ。  ◇エネルギーの孤島  リトアニアは1990年にソ連(現ロシア)から独立を宣言した。しかし、ガスのパイプラインや送電網はソ連につながっていた。独立宣言直後にはソ連がリトアニアに圧力をかけるため、ガス供給を8割削減し、石油供給も停止。ザナナビチュス副エネルギー相は「われわれはいわば『エネルギーの孤島』で、ロシアに完全に依存する非常に脆弱(ぜいじゃく)な状況にあった。だから自然と(独立)当初からエネルギー政策は『(ロシアからの)独立』という一言に集約された」と振り返る。  エネルギーを「武器」として使うロシアの圧力はその後も続いた。ロシアからの輸入に依存するリトアニアへのガス価格はかつて「欧州で最も高かった」(ザナナビチュス氏)という。  リトアニアは燃料の輸入先の多様化を目指した。まず99年に北西部ブティンゲの石油ターミナルを建設。そして2014年に西部クライペダの液化天然ガス(LNG)ターミナルの運用を開始し、ロシア以外から海路での輸入を可能にした。ガスターミナルの運用開始で、リトアニアは安価なガスを入手できるようになり、ロシア国営ガス独占企業ガスプロムは、リトアニア向けのガス価格を引き下げることになった。  ◇ロシアから輸入停止  リトアニア政府は昨年4月、「ロシアのエネルギーの脅しとウクライナ戦争への対応」として、ガスプロムから供給を受けるEU諸国では初めてロシアからのガス輸入停止を発表。翌5月には電力などの輸入停止を発表し、ロシアからのエネルギー資源の輸入をすべて断ち切った。  またロシアとEU諸国のガス取引が停止する中で、リトアニアのガスターミナルを経由したバルト諸国などへのガス供給が急増。ターミナルを運営するリトアニア国営「クライペドス・ナフタ」(KN)によると、ターミナルの稼働率は侵攻前は約50%だったが、侵攻開始後は90%に急上昇し、現在も85~90%の高水準が続く。  EUのフォンデアライエン欧州委員長は昨年9月の欧州議会で、ロシア依存脱却に向け、ターミナルなどに投資してきたバルト3国に言及。「コストは甚大だが、ロシアの化石燃料への依存はさらに高い代償を伴う」と述べ、欧州全体がエネルギーのロシア依存から脱却すべきだと表明した。  メイルーナス副外相は「ロシアにはリトアニアに圧力をかける道具はもはやない」と断言。「リトアニアの例は、独裁的かつ独占的なエネルギーの供給者に依存しないことがいかに重要か示した」と指摘し、専制主義の国と貿易を行うリスクに警鐘を鳴らす。  バルト3国は依然、ロシアの送電網に接続されているが、早ければ24年末にEUのものへ切り替わる見通しだ。一方、リトアニアは消費電力の約7割を輸入に頼っており、エネルギー自給率の向上に向け、再生可能エネルギーの利用拡大をいかに進めるか課題も残っている。 【時事通信社】 〔写真説明〕リトアニアのザナナビチュス副エネルギー相(リトアニア・エネルギー省提供・時事) 〔写真説明〕リトアニア西部クライペダの液化天然ガス(LNG)ターミナル(クライペドス・ナフタ提供・時事)
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