飯塚耕一郎さん「悔い残る」＝繁雄さん死去１年―北朝鮮拉致

　北朝鮮に拉致された田口八重子さん＝拉致当時（２２）＝の兄、飯塚繁雄さんが８３歳で死去してから１８日で１年を迎える。「悔いは残る」。田口さんの長男、飯塚耕一郎さん（４５）が命日を前に取材に応じ、心境を語った。 　繁雄さんは２００７年、拉致被害者家族らでつくる「家族会」の２代目代表に６９歳で就任。初代の横田滋さんに代わって先頭に立ち、「全拉致被害者の即時一括帰国」を目指して救出を訴え続けてきた。 　晩年は病気と闘いながら、集会などの多くの活動に奔走した。「集会に出ても１時間も座り続けることができないほど体力の低下がひどく、タクシーで横になりながら集会へ向かっていた」という。 　繁雄さんと二人三脚で救出活動に取り組み続けてきた耕一郎さん。わが子として育てられた父の死について「八重子さんを会わせられなかったことは後悔以外の何ものでもない。本当に無念だ」と変わらぬ心境を打ち明けた。 　拉致されたきょうだいや子どもとの再会が果たせないまま、高齢となった被害者家族が亡くなる状況が続いている。「あり得ない話だし、あってはいけない」。耕一郎さんは北朝鮮にいる被害者の高齢化にも懸念を示し、「早急に救ってあげなければいけない」と力を込めた。　（了） 【時事通信社】 〔写真説明〕インタビューに答える拉致被害者、田口八重子さんの長男飯塚耕一郎さん＝１３日、東京都中央区