英、押し寄せる「ストの波」＝Ｘマス期に鉄道や郵便など

　【ロンドン時事】エネルギー価格高騰や記録的な物価高に見舞われている英国で、賃上げを求めてストライキが相次いでいる。看護師の労組が史上初めて全国規模で臨むほか、鉄道・バスや郵便局などの職員も実施。繁忙期のクリスマス期間を迎える中、「ストの波」（英メディア）が押し寄せ、公益部門の多くが機能停止に陥りかねないと懸念が強まっている。 　全国の看護師や助産師らで構成する王立看護協会は１５日と２０日、創立から１００年以上の歴史で初となるストを構えている。組合員１０万人が参加する予定で、各地の病院で手術や診療が中止となる見込み。鉄道労組は１３日から年末にかけて断続的にストを計画。バス運転手や空港の荷物係、郵便配達員、入国管理当局職員の各組合もそれぞれストを通告している。 　広範な分野に及ぶ前代未聞のストは、過去数十年で最大規模とされる。市民生活への影響が最も深刻なのが医療関係のストで、看護師に続き来週は救急隊がストを準備。政府は軍に代行を要請したが、急病人への対応が困難になる恐れがある。 　大衆紙デーリー・メールは「病気になるな、列車に頼るな、クリスマスカードのことも考えるな」と人々が言われている状態だと報じ、国全体が賃上げ要求の「人質」にされたと批判している。与党議員は同紙に「最悪の場合（人命に）危険が生じる」と警告した。　【時事通信社】 〔写真説明〕英国会議事堂前に集結した郵便局の職員ら＝９日、ロンドン（ＥＰＡ時事） 〔写真説明〕プラカードを掲げるバス会社の職員ら＝１日、ロンドン（ＥＰＡ時事）