デービッド・トリンブル氏死去、７７歳＝北アイルランド和平でノーベル賞

　【ロンドン時事】英領北アイルランド自治政府の初代首相を務め、１９９８年にノーベル平和賞を受賞したデービッド・トリンブル氏が２５日、病気のため死去した。７７歳だった。英国への帰属をめぐるプロテスタント系とカトリック系の長年にわたる対立を和平合意（ベルファスト合意）に導いたことで知られる。英ＢＢＣ放送などが伝えた。
　プロテスタント系住民が多い北アイルランド東部の都市バンガーで生まれた。最大都市ベルファストの大学で法律を学んだ後、７０年代からプロテスタント強硬派の運動に参加。その後、プロテスタント系の最大政党、アルスター統一党（ＵＵＰ）に入党した。
　９０年に英下院に初当選し、９５年にはＵＵＰの党首に就任。宗派の異なる住民同士の衝突や過激派によるテロが頻発する中、譲歩を許さないプロテスタント強硬派を粘り強く説得するなど、対立解消に向けて対話路線を推進した。
　自治政府設置などを柱とするベルファスト合意にこぎ着け、紛争の歴史に終止符を打った功績が認められ、カトリック系の政治家ジョン・ヒューム氏（２０２０年に死去）と共にノーベル平和賞を授与された。　【時事通信社】
〔写真説明〕デービッド・トリンブル氏＝２０１２年１１月、マニラ（ＡＦＰ時事）