再発防止願い、本出版＝明石歩道橋事故遺族

　兵庫県明石市の歩道橋事故から２１年となる２１日、遺族有志が真相究明や再発防止に向けたこれまでの取り組みや手記をまとめた本を出版した。編集に携わった遺族は「同じ悲しみを繰り返さないために努めてきた。１人でも多くの人に手に取ってもらいたい」と話している。 　本は「明石歩道橋事故　再発防止を願って」（神戸新聞総合出版センター）。２００１年７月の事故発生以降の遺族の手記や、事故の真相解明と刑事責任の追及に向けた遺族会の活動に加え、初の強制起訴を経て最高裁での免訴確定と異例の経緯をたどった司法手続きの詳細などをまとめた。 　事故から２０年以上を経た手記では、１６年の県警明石署幹部の免訴確定を振り返り「（亡くなった娘に）判決を報告できなくなり、再び謝ることしかできなかった」などと悔しい思いがつづられている。 　出版に先立ち遺族２人が記者会見し、母を失った白井義道さん（６２）は「きちんと記録を残さないと後世に残せないと考えた」と話した。長女＝当時（９）＝と長男＝同（７）＝の２人を亡くした有馬正春さん（６３）は「こうした事故は誰もが遭遇する可能性がある。１人でも多くの人に本を手に取ってもらい、こんなに悲しいことがあったと知ってほしい」と訴えた。 　本はＡ５判４２０ページで２２００円（税込み）。　（了）【時事通信社】