犠牲者実名報道、考え方公表＝新聞協会、京アニ事件機に議論

　日本新聞協会は１１日までに「実名報道に関する考え方」をウェブサイトに公表した。２０１９年７月の京都アニメーション放火殺人事件で犠牲者を実名で報じたことに対してさまざまな意見が寄せられたことを機に、子を失った遺族や弁護士ら専門家から意見を聴くなど議論してきた。 　一問一答形式で、なぜ実名報道するのか▽遺族の匿名希望は考慮しているのか▽報道側の利益のためではないのか▽プライバシーを侵害していないか▽遺族取材でどのような配慮をしているか―の五つの質問に答えた。 　実名報道の理由については、飲酒運転厳罰化につながった０６年の福岡３児死亡事故、ストーカー規制法制定の契機になった１９９９年の桶川女子大生殺害事件の遺族の声や、再発防止の取り組みを交えて回答。「匿名社会では事件の教訓を得たり、後世に検証したりすることができなくなる。名前は犠牲者への共感を生み、再発防止に向けた議論を促す力になると考えている」とした。　（了）【時事通信社】