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「何年でも待つ人いる」=独学で「復顔法」、震災で活用―宮城県警OBの安倍さん


 法医学データに基づき、頭蓋骨や遺体写真などから生前の顔を再現する「復顔法」。似顔絵に応用する技術の講習会が、宮城県警で東日本大震災後、毎年行われている。講師を務める鑑識課OBの安倍秀一さん(72)は「何年たっても待つ人はいる。やるべきことは同じだ」と語る。  安倍さんは1968年、同県警に入り、主に本部の鑑識課などで勤務した。震災当時、安倍さんが描いた身元不明者の似顔絵94枚のうち、これまでに24人の身元が判明しており、「似顔絵の神様」と呼ばれることもある。  きっかけは、約40年前に仙台市の渓谷に架かる八木山橋で、若い男性が約100メートル下に転落した事案だった。遺体は顔面の損傷が激しく、遺族は当初、「うちの子ではない」と引き取りを拒否。しかし、安倍さんの似顔絵を見て、息子だと納得してくれたという。  遺体の返還だけでなく、事件性の有無を判断する上で、身元特定は警察の責務。似顔絵技術の向上のため、安倍さんは「何とか復顔法を身に付けたいと思った」と当時を振り返る。  目や唇の位置、顔の組織の厚さなどの医学的データを参考に顔立ちをよみがえらせる。安倍さんは鑑識課時代の経験から、遺体の死後変化や発見場所の情報なども活用した。  震災の混乱の中では、遺体の顔写真が正確に撮られなかったことも少なくない。しかし、専門書などを読み、独学で習得した復顔法の似顔絵は、限られた情報の中でも、身元不明者の生前の表情を正確に捉えていた。  似顔絵の作成は深夜2時まで及んだことも。翌日には資料から違った見方ができるようになり、何度も何度も修正して1枚の似顔絵を完成させた。  安倍さんは現在、技術を若手警察官に伝える「鑑識技能伝承官」として後進の育成に力を入れている。「呼んでもらえる限りは続けたい」と、今年も講師を引き受けた。「いつ何があっても必ず描ける人がいるようにしたい」(了) 【時事通信社】 〔写真説明〕宮城県警の講習会で、復顔法を用いた似顔絵の技術を教える安倍秀一さん(右)=2021年7月2日、仙台市
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