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米「制裁外交」に限界も=同盟国との結束カギ―備えるロシア・緊迫のウクライナ情勢


 ロシアによるウクライナ侵攻への緊迫感が高まる中、バイデン米政権は「壊滅的」な制裁の準備を急いでいる。ただ、欧州などに悪影響が及ぶため、指定範囲を慎重に検討している。ロシアのプーチン大統領を抑止できず、世界経済に打撃を与えるだけの結果となれば「制裁外交」の有効性が問われかねない。  ◇「多大な代償」  米政府高官がロシアに警告する際、「ウクライナ侵攻には『多大な代償』を伴う」というお決まりの表現を使う。背景にあるのは、2014年に起きたロシアのウクライナ南部クリミア半島併合などを受けて、当時のオバマ政権が発動した経済制裁の効果が薄かったという指摘だ。  米議会調査局の報告書によると、14年以降の制裁では、少なくとも735の個人・団体が指定された。それでもクリミア半島は戻らず、危機は再来。報告書は一連の制裁について、「ロシア市民と欧米の経済的コストを最小限に抑える内容だった」と分析している。  一方、バイデン政権が想定する制裁は、ロシアの主要銀行を含む金融部門に加えて、ハイテク製品の輸出規制が軸となる。最大の効果を出すためには、友好国の協力が不可欠だ。米タフツ大フレッチャースクールのミラー助教は、「ロシアの脅威は一段と高まっており、欧米は制裁コストを負担する意思を強めていると思う」とみる。  ◇天然ガスの5割依存  欧州諸国はロシアに「大規模な経済・金融制裁で応じる」(欧州連合=EU=のフォンデアライエン欧州委員長)必要性の認識で一致するものの、一枚岩ではない。世界の銀行決済取引網「国際銀行間通信協会(SWIFT)」からロシアを締め出す方策に関し、ジョンソン英首相は「非常に強力な武器」として米国と協議する意向を示すが、ドイツは否定的な立場だ。  脱原発を進めるドイツがロシアから輸入する天然ガスは、全体の5割超。SWIFTからの排除でロシア経済が機能停止となれば、供給が止まりエネルギー危機に陥りかねない。また、制裁の一環としてロシアとドイツを結ぶ新たな天然ガスパイプライン「ノルドストリーム2」の「稼働阻止」が挙がっている。ドイツが受け入れたとしても、多くの関係企業が打撃を受けるのは必至だ。  ◇対中経済関係強化  ロシアのラブロフ外相は1月26日の下院本会議で、西側のドル決済に頼らない方法として開発したSWIFT代替システムが「機能している」と説明。外貨準備のドル比率を「急激に減らしている」と強調した。  ロシア経済は農業を中心に国内産業の振興が進み、16~19年は低水準ながらプラス成長だった。対米で結束する中国との経済関係を強化し、西側の経済支配体制からの脱却を模索する。  「国民経済予測研究所」のアレクサンドル・シロフ所長は、ロシア通信に対し「米国はロシアの資源を必要としていないが、ドイツはわれわれのガスのおかげで世界で高い競争力を維持している」と主張。欧米の隙間につけ込めば、プーチン政権は持ちこたえられると自信をにじませた。 【時事通信社】 〔写真説明〕バイデン米大統領(右)とロシアのプーチン大統領(AFP時事) 〔写真説明〕天然ガスパイプライン「ノルドストリーム2」=2021年9月、ドイツ北東部ルプミン(AFP時事)
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