「私、失敗しないので」の決め台詞でおなじみのドラマ「ドクターX」や、嵐・二宮くんのダークなキャラクター性が人気だった「ブラックペアン」など、医療ドラマがここ数年、大流行り。(昨年の邦画興行No.1も「コードブルー」でしたね。)
ドラマなのである程度の脚色はあるものの、きちんとした医療関係者による監修が入り、これまで、自らが患者にならなければ“未知”の世界だった手術室・治療室の中の様子や、手術・治療の名称を含めた内容などを、これらのドラマを通じて垣間見られるようになりました。少しでも“医療”を身近なものとして捉えられるようになったのではないでしょうか。
現実でも日々、医療機器は進化を遂げ、それにより手術の質も向上しています。
今回、日本人の3大死因の1つである心疾患に関わる治療を向上させる機器がバージョンアップしたとのことで、話を聞いてきました。
カテーテルとは直径2mm程度の細い管のことで、この管を足の付け根、手首、ひじなどにある動脈から心臓近くまで挿入し、心臓の筋肉に血液を流している冠動脈を広げる治療です。主に、狭心症、動脈硬化などの心疾患に施されます。
そして近年は、弁膜症を中心とした構造的心疾患へも適用されています。
基本的には肋骨などを胸郭する外科手術が、まず治療法として考慮されますが、体力的に外科手術に耐えられない高齢者などにカテーテル治療を適応することが多いようです。
また、外科手術に比べて、次の日には歩いてリハビリができるなど、治療後の回復が早いことも特徴です。
多くのカテーテル治療の実績を持つ小倉記念病院・循環器科部長の白井伸一先生によれば、「カテーテル治療には3次元での構造把握が必要であり、術者には技術だけではなく画像からの情報を元に立体的な再構築を行う技量も必要とされる」とのこと。
治療室内はレントゲン機器、エコー機器、モニター、デスク、治療台など多くのものがあり、治療の進み具合でそのレイアウトを変更、術者もスタッフも移動する必要があります。また人が入り込めないスペースができたり、治療にあたる医師の動きが制限されたり、挿管しているチューブやケーブルが外れる危険性があったりと、結構なカオス状態のようです。
これらにより、術者も患者も動くことなく治療を進行でき、リアルタイムにあらゆる方向のデータを表示できるようになり、効率も安全性もアップしました。
また、画期的なのは、これまで別モニターで表示され、瞬時の判断がなかなかに難しかったレントゲンとエコーのデータが一元的に見られるところです。
前述の白井先生も、リアルタイムに鮮明な画像でデータを確認することはカテーテル治療において不可欠であり、その一元的融合は治療を確実なものにしていると言っています。
操作性においても、タッチスクリーン上で3Dデータの縮小、拡大、回転などが行え、ベテランでなくても操作しやすい、“直感型”になっています。
治療に不可欠な情報を得る技術が向上したなら、あとは医師の技量のみ!
“失敗しない”先生が増えていくはずですよね。