長野県長野市にある善光寺は創建1400年と大変古い歴史を持つ寺院であり、古くから多くの参拝者が訪れる名刹です。
「牛にひかれて善光寺参り」など多くの逸話を持っているのですが、なぜ善光寺は古くからこんなにも多くの人々から愛され続けているのでしょうか?またなぜこの長野の地にあるのでしょうか?
また、善光寺の特色である「お戒壇巡り」や「御開帳」とはどういうものなのでしょう。
今回は善光寺について詳しく解説していきます。
是非、長野へ旅行に行く際は参考にしていただき、善光寺詣りに行ってみてくださいね。
善光寺の基本情報
善光寺の歴史
善光寺の創建は皇極天皇元年の642年といわれていて、今から約1400年も前 になります。
ご本尊は一光三尊阿弥陀如来(いっこうさんぞんあみだにょらい) で、仏教伝来の際に百済(今の韓国)から日本へ伝えられた日本最古の仏像と言われています。
そして 善光寺の名前の由来は、ご本尊を信濃の地へお連れした信濃国国司の従者だった本田善光から名づけられました。
このように大変古い歴史を持つ善光寺ですが、実はどこの宗派にも属していない、 無宗派という珍しいお寺 です。創建の1400年前にはまだ仏教の宗派が分かれる前だったからです。
そのため善光寺は宗派や身分にかかわらず誰でも参拝できるお寺であったことから、古くから広い信仰を集めてきました。鎌倉時代から戦国時代にかけても多くの武将たちに崇敬され、江戸時代の泰平の世では多くの庶民が参拝に訪れました。特に女性の参拝客が多かったことも特徴に挙げられています。
そのため「 牛にひかれて善光寺参り 」「 一生に一度は善光寺詣り 」という、善光寺に関する多くの逸話も残されています。
住所
長野県長野市大字長野元善町491ーイ
参拝時間
善光寺の本堂外陣は24時間参拝が可能です。
内陣はお朝事の1時間前(5時30分~6時頃)~16時30分(冬期は16時)まで参拝が可能です。
参拝料金
本堂外陣は参拝料金はかかりませんが、内陣参拝・資料館・お戒壇巡りをする場合は一般の方は600円の拝観料が必要となります。
また三堂(本堂内陣、山門、経蔵)と史料館、お戒壇巡りのセット券があり、こちらは一般の方で1,200円の拝観料が必要となります。
御朱印
本堂の左側に御朱印所があります。開所時間はお朝事の開始30分前から16時30分までで、御朱印料は500円です。
交通アクセス
電車で行く場合
最寄り駅は長野新幹線・JR篠ノ井線長野駅になります。善光寺口を降りると、善光寺まではまっすぐな一本道で続いているので、歩いて行くこともできます。駅から善光寺までの距離は約2kmになります。
歩いて行くのが厳しければ、路線バスで行くこともできます。長野駅から善光寺までは路線バスも頻繁に出ているので、待ち時間もそれほどかかりません。料金は片道190円になります。
車で行く場合
車で行く場合は、高速道路の最寄りのICは上信越自動車道長野ICになります。長野ICから善光寺までの所要時間は約40分です。
駐車場は善光寺周辺にたくさんの有料駐車場があります。善光寺の境内にも第1から第6まで駐車場があります。善光寺境内の駐車場料金は、乗用車が2時間まで600円、以降1時間ごとに300円の延長料金がかかります。
善光寺御開帳
善光寺の御本尊「一光三尊阿弥陀如来」は絶対秘仏であり、直接拝むことができません。鎌倉時代にご本尊の御身代わりとして御本尊と同じ姿をした「前立本尊」が造られました。 普段は宝庫に安置されているのですが、 7年に一度だけ特別に前立本尊のお姿を拝むことができます 。それが「 御開帳 」です。
前立本尊中央の阿弥陀如来の右手に結ばれた金糸は五色の糸に変わり、白い「善の綱」として、本堂前に建てられた回向柱に結ばれます。その 回向柱に触れることは前立本尊とつながることとなり、功徳が得られる といわれています。
最近では2022年に御開帳が行われていて、4月から6月までの3か月間の間におよそ636万人の参拝者が訪れています。
善光寺の見どころ
本堂
善光寺の本堂は、創建以来何度も大火で焼失しており、 現存する本堂は江戸時代の1707年に再建されたもの です。江戸時代中期を代表する仏教建築で、 国宝にも指定 されています。
建物の高さは約30m、間口は約24m、奥行き約54mと国宝級の建造物の中では東大寺大仏殿、三十三間堂に次ぐ3番目の大きさです。
本堂内部は 外陣(げじん)、内陣(ないじん)、内々陣(ないないじん) に分けられていて、 最奥の瑠璃壇(るりだん)に御本尊である一光三尊阿弥陀如来をお祀りしています 。
建物は鐘を叩く「撞木(しゅもく)」というT字型の器具に似ていることから「 撞木造り 」と呼ばれています。
山門(さんもん)
山門は 1750年に建てられた二層入母屋造りの門 で、 国の重要文化財に指定 されています。山門は三門とも書かれています。
近年では、長年の施設の老朽化や地震の影響により、平成14年から平成19年の5年間をかけて平成大修理が行われました。
山門で最も有名なのは、山門の上部に掲げられている 「善光寺」と書かれた「鳩字の額」 です。この額は輪王寺宮(りんのうじのみや)親王に書かれたもので、大きさは約3畳分の大きな額です。 3文字の中に鳩が5羽隠されています。また「善」の文字が牛の顔になっています。
是非実際にご覧になって、隠れた鳩や牛を見つけてみてください。
仁王門(におうもん)
仁王門は1752年に建立されましたが、善光寺大地震などにより二度焼失し、 現存のものは大正時代の1918年に再建されたもの です。
高さ約14m、間口約13m、奥行約7mのケヤキ造りで、門の上部には善光寺の山号である「定額山(じょうがくざん)」の額が掲げられています。
阿形、吽形の仁王像と仁王像の背後にある三宝荒神・三面大黒天は近代彫刻家として著名な高村光雲・米原雲海作のものです。
経蔵(きょうぞう)
経蔵とは、経典などの書物を収納する建物のことです。
善光寺の経蔵は、 1759年に建立され、国の重要文化財に指定された「宝形造り」と呼ばれる建築様式のお堂 です。
建物内部の中央には、八角の輪蔵(りんぞう)があり、中には仏教経典「一切経」全6,771巻が収められています。
高さ約5m、重さ約5tの巨大な輪蔵を時計回りに一周押し回すと、収められている「一切経」を全て読んだことと同じ功徳(くどく)が得られるといわれています。
鐘楼(しょうろう)・梵鐘(ぼんしょう)
鐘楼は1853年に再建 されたもので、 国の有形登録文化財に指定 されています。
建物には6本の柱がありますが、これは「南無阿弥陀仏」の6文字が由来とされています。
梵鐘は鐘楼よりも古い1677年に造られたもの で、毎日午前10時から午後4時まで、毎正時に鳴らされています。長野オリンピックの時には開会の合図として鳴らされました。
びんずる尊者像
「びんずる」とは「賓頭盧」と書き、お釈迦様のお弟子である十六羅漢の筆頭です。世間では「 びんずるさん 」と呼ばれ親しまれています。
善光寺本堂に入るとすぐに目の付くところにあり、 撫でるとその部位の病気が治る と言われていて、「 撫仏(なでぼとけ) 」とも呼ばれています。仏像は300年以上多くの人々に撫でられて、表面がつるつるになっています。
お戒壇巡り(おかいだんめぐり)
善光寺の名物として、参拝者が必ず訪れるのが「 お戒壇巡り 」です。
善光寺本堂の最奥にあり、 ご本尊の真下を通る真っ暗な通路 になります。暗闇の中を進んで、 途中にある「極楽の錠前」を見つけていただきます 。
この 錠前はご本尊と結ばれていて 、 触れることでご本尊と直接ご縁を結べる と言われています。
https://www.zenkoji.jp/meguru/
善光寺周辺スポットとお土産
仲見世通り
仲見世通りは、善光寺境内の入口である 仁王門から山門に至る400mほどの石畳で整備された、善光寺の参道です 。参道脇には宿坊や飲食店、お土産屋など約50件が軒を連ねています。
通り沿いのは信州の名物が多く販売されていて、名物のおやきや栗のモンブラン、信州みそを使った商品やりんごを使用したスイーツなどを楽しむことができます。
お土産の買い物や、参拝後の休憩などで立ち寄っていきたい通りです。
https://nagano.boooon.site/course/1/
八幡屋礒五郎「七味唐辛子」
善光寺のお土産として、真っ先に頭に浮かぶお土産の中の一つに、 八幡屋礒五郎の七味唐辛子 を思い浮かべるか方も多いのではないでしょうか。
日本三大七味の一つに数えられている七味唐辛子 は、 善光寺の門前にお店を構えていて、創業282年 という長い歴史を誇ります。名前は知らなくても、赤と金のコントラストと大きな唐辛子の絵が描かれた缶を目にすれば思い出す人も多いほど長く親しまれた商品です。
七味には 唐辛子、山椒、生姜、麻種、胡麻、陳皮、紫蘇 を使用してます。地元長野県民にも親しまれているのはもちろんのこと、参拝客のお土産としても多くの人々に長く親しまれ続けている名物です。
善光寺ゆかりのスポット
元善光寺(長野県飯田市)
元善光寺は 約1400年前に本多善光によって現在の長野県飯田市座光寺の地に開かれた天台宗の寺院 です。 本多善光は飯田市座光寺の住人 で、国司に従って都に上った際に、難波の堀江で一光三尊の阿弥陀如来に巡り合って、 故郷であるこの地に安置した と言われています。
それから 41年後に本尊は芋井の里(現在の長野市)へと遷されて、そこが善光寺となりました 。その際にこちらの寺は元善光寺と呼ばれるようになりました。
元善光寺の「元」は”本元”の意味 になります。長野善光寺と飯田元善光寺の両方をお参りしなければ片詣りと言われています。
甲斐善光寺(山梨県甲府市)
甲斐善光寺は 1558年に武田信玄公が川中島の合戦による信濃善光寺の焼失を恐れて、善光寺にあった諸仏寺宝類を山梨県甲府市に移して開山した浄土宗の寺院 です。江戸時代には徳川家の位牌所にもなっていました。
撞木づくりの金堂と山門は国の重要文化財に指定されています。金堂内には、手を打つと共鳴する「 鳴き龍 」や信濃善光寺にもある「 お戒壇巡り 」もあります。
https://kofu-tourism.com/spot/17
北向観音堂(長野県上田市)
北向観音堂は長野県上田市の別所温泉街の中にある天台宗の寺院 です。
厄除け観音として古くから参拝者の多いのですが、近年は縁結びのパワースポットとしても人気があります。この 北向観音堂は名前の通り本堂が北を向いており、その向かいにある善光寺は南を向いていて、対角線上に向かい合うように立っています 。
このことからどちらか一方だけでは片詣りといわれ、両詣りすることでご利益がいただけると言われています。
https://www.kitamuki-kannon.com/
善光寺参りでご利益をもらいに行こう
創建1400年と古い歴史をもつ善光寺は、珍しい無宗派の寺院であり、そのため老若男女問わず多くの参拝客を受け入れてきた歴史があります。
立地も電車、車ともに行きやすい場所にあるのもありがたいです。
普段の日に参拝に訪れるのも良いのですが、7年に一度行われる善光寺御開帳は普段お目にかかることのできないご本尊の身代わりに近づくことのできるありがたい行事なので、是非一度は行ってみたいものです。
「一生に一度は善光寺詣り」。今度の休日には善光寺に行ってみてはいかがでしょうか?
https://www.veltra.com/jp/japan/nagano/?sid=1554
nonta
余暇プランナー
元旅行会社勤務で今は山の中の観光施設で働きながら旅ライターを行っています。元々旅行好きで大学も地理学専攻と根っからの地理マニアです。大自然の絶景と寺社仏閣などの歴史建築が大好きで、連休などあればすぐに車中泊で出かけてしまいます。その他登山やランニングなどとにかく家に引きこもっていることが苦手で、常に自然の中で過ごしていることが私の癒しになっています。