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競輪ユニフォームの歴史を紡ぐアップサイクルとアートの競演「KEIRIN ART AWARD」


「KEIRIN ART AWARD」は、競輪の新たな魅力を発信し、環境保護を推進するために、市民財団法人JKAが主催したコンテストです。男子競輪ユニフォームの22年ぶりの刷新を契機に、ユニフォームを利用したアップサイクルやアート作品を募集して実施されました。「アップサイクル部門」と「アートポスター部門」で構成され、多様な作品が競輪の魅力と持続可能性を示しています。受賞作品はエネルギッシュな競輪の世界観やユニフォーム素材を活かし、新しい価値を創造しました。また、使用されなかったユニフォームは、再資源化プロジェクトによってリサイクルされています。このように、競輪の歴史とエネルギーを社会的な価値創造につなげる試みは、スポーツ文化や環境への意識向上にも寄与しています。

競輪という日本発祥のスポーツ。そのユニフォームが持つ色彩と歴史が、新しい価値を生み出す素材として注目を集めています。この度、公益財団法人JKAは、22年ぶりの競輪男子ユニフォームリニューアルを契機に開催された、業界初のアップサイクル&デザインコンテスト「KEIRIN ART AWARD」の受賞者を発表しました。本コンテストは、競輪のユニフォームをアップサイクルする「アップサイクル部門」と、競輪の魅力を伝える「アートポスター部門」の2部門で構成され、2024年8月5日から募集が開始されました。環境保護意識を高めつつ、競輪の魅力を多くの人々に訴求する目的で実施され、多彩なアイデアが寄せられました。審査員には、アートやデザインの第一線で活躍する専門家が名を連ね、多様な視点で作品が評価されました。競輪のエネルギッシュな世界観を日常に取り入れたアップサイクル作品や、選手たちの努力を象徴するアートポスターは、それぞれが競輪の新たな魅力を示しています。このコンテストは、競輪という枠を超えた「社会とのつながり」を見せてくれました。

アートと環境保護が交差する「KEIRIN ART AWARD」とは

公益財団法人JKAが主催した「KEIRIN ART AWARD」は、競輪の新たな魅力を発信するとともに、環境問題への取り組みを推進するために開催されました。背景には、22年ぶりの男子競輪ユニフォームの刷新があります。このユニフォーム刷新は、機能性やデザイン性を向上させるだけでなく、ペットボトルから再生されたリサイクルポリエステル糸など環境に優しい素材が使用されており、持続可能な社会の実現を目指すプロジェクトとしても注目されています。競輪の歴史を支えてきたユニフォームを「廃棄」ではなく「再利用」することで、競技の新しい価値を創造し、広く社会にメッセージを届ける試みです。
また、本コンテストで使用されなかったユニフォームも環境負荷を軽減する形でリサイクルされます。伊藤忠商事株式会社および株式会社レゾナックが推進する「ARChemiaプロジェクト」によって、アンモニアや水素などに変換され、再資源化されます。これにより、循環型社会の実現に向けた新たな一歩が踏み出されました。

【アップサイクル部門】ユニフォームが生活の中で輝く瞬間

22年間選手が使用してきたユニフォームは、カラフルで個性的。その素材を活用し、日用品やファッションアイテムとして再生する試みが行われました。受賞作品には、デザインと実用性が見事に融合した作品が多数並びます。

グランプリ受賞作品「HASSO Cushion」/作者:王婧怡(オウ・セイイ)

作品について:
エネルギッシュさと、フィジカルの強靭さ。競輪の魅力は、スポーツの域に留まらず、観る者の心を揺さぶります。「HASSO Cushion」は、そんな競輪選手たちの肉体的な美しさと圧倒的なエネルギーを、日常に取り入れるためのアップサイクルプロダクトです。競技の中で肉体が発する瞬間的な激しさを、クッションという柔らかな形で表現しました。触れるたびに競輪の「疾走」がもたらす高揚感と、その先に広がる安らぎを体験できます。

審査員コメント:
一目で心惹かれてしまいました。特徴的なフォルム、カラーリングは競輪とそのユニフォームをさらに魅力的にしてくれていると思いました。(田中氏)

準グランプリ受賞作品「KEIRINユニフォームバッグ」/作者:OHAGI

作品について:
ユニフォームの形状と伸縮性のある素材、キャッチーな数字のデザインを活かして、 自転車とも親和性の高いユニフォームのボディバッグを提案します。 このバッグを背負って競輪気分になることで、サイクリングやお出かけがより楽しくなれば嬉しいです。

審査員コメント:
製作において廃棄部分と工程を極端に削ったアイデアは、まさにアップサイクルに相応しい提案でした。(佐藤氏)

ライフスタイル賞受賞作品「リペアシール」/作者:大畑 五月

作品について:
古くなり、ダメージの出来てしまったアイテムを、絵を描くようにリペアできるシールです。 競輪のユニフォームの独特なデザインや素材を余すことなく使ったシールは、 古くなったり、ダメージがあったりするアイテムを新たな表情に生まれ変わらせてくれます。このシールによるリペア体験を通じて、コミュニケーションを生み、 環境保護の意識と、競輪の魅力を、より多くの人に伝えていくことが狙いです。

審査員コメント:
アップサイクルグッズを用いて修復を行うという斬新なアイデアやユニフォーム素材や色を使って自分を表現するという新しい価値を生み出している点が素晴らしい作品です。(アレックス氏)

JKA特別賞受賞作品「自転車好きのためのメッセンジャーバッグ」/作者:穂積 優

作品について:
カラフルなユニフォームと象徴的な選手番号を底面にも配置し、自転車に乗ると特に大胆に際立つメッセンジャーバッグです。1970年代、この形のバッグのルーツであるバイシクル・メッセンジャーは、元々は車社会や環境破壊への反目的なポリシーを持った若者が多かったといいます。世界を代表する自転車競技である競輪のユニフォームをメッセンジャーバッグにアップサイクルするというのは、環境にも優しい自転車乗りであるという新しいメッセージとなりそうです。

JKAコメント:
配色の美しさや車番が見えるデザイン等、ユニフォームの特徴を活かした、思わず欲しくなるような作品でした。

【アートポスター部門】競輪の精神を視覚で表現

競輪の魅力を視覚的に伝える「アートポスター部門」には、多くの学生やアーティストが参加し、それぞれが競輪の持つスピード、緊張感、そして人間ドラマを独自の視点で表現しました。

グランプリ受賞作品「努力が強さになる」/作者:治部 晶

作品について:
競輪の鮮やかでエネルギッシュなレースの裏にある、選手の努力や葛藤をイメージして制作しました。何層にも重ねられた線は自転車を漕いだ跡であるとともに、「目に見える努力」の蓄積です。この作品では「線」に大きな意味を持たせ、重きを置きました。華やかなレース時とは対照的な、練習時の努力や葛藤という、別の視点で競輪を見るきっかけになる作品にしたいと思い制作しました。

審査員コメント:
華やかな表舞台の背景に目を向けた素晴らしい作品だと思います。この努力の積み重ね、選手同士の思いなどが紡がれて今があるのだと知ると、競輪がさらに魅力的に感じられます。(田中氏)

準グランプリ受賞作品「Integration」/作者:松田 兼一郎

作品について:
ブレーキのない自転車で最高速度70キロを超えるスピードで競い合う選手たち。その激動の中で一体化する選手と自転車を、競輪の象徴である車輪をモチーフに9色で表現しました。研ぎ澄まされた肉体と精神、スピードを感じられるようにシャープな印象に。また、ポスターの天地左右どこを上にしても成立する仕様に。このポスターを見た選手、スタッフ、観客の思いが一体化して競輪の明るい未来をイメージできることを目指しました。

審査員コメント:
スポーツの身体性ではなく、車輪やユニフォームの色を使った抽象的アプローチに意外性を感じました。(佐藤氏)

優秀賞受賞作品

左:「融合」、中:「見逃せない、瞬間」、右:「Born in Japan」

作品名:
「融合」/作者:羽成 優実
「見逃せない、瞬間」/作者:野村 香奈 
「Born in Japan」/作者:髙橋 大空

JKA特別賞

左:「疾走」、中:「踏み出せ、未来へ」、右:「Stampede」

作品名:
「疾走」/作者:木原 千晴
「踏み出せ、未来へ」/作者:鈴木 森
「Stampede」/作者:弦川 聖奈

競輪がつなぐ、社会と環境への新たな架け橋

「KEIRIN ART AWARD」は、競輪というスポーツを単なる競技の枠に留めず、新たな価値を創出する試みとして、大きな意義を持つコンテストでした。アップサイクルを通じて生まれ変わったユニフォームや、競輪のエネルギーを象徴するアートポスターは、競輪の魅力を新しい視点で捉え直すきっかけとなりました。同時に、これらの作品は環境保護や社会課題への意識を高めるメッセージとしても機能しています。
競輪がもつ歴史やエネルギーを活かしつつ、現代社会に求められる持続可能性や創造性を取り入れるこのような取り組みは、スポーツ文化が果たす役割の可能性を広げてくれるものです。競技の魅力を伝えるだけでなく、社会や環境と調和しながら新たな価値を生み出すことで、競輪がさらに多くの人々に親しまれる存在になることでしょう。
このような活動が競輪界だけでなく、他のスポーツ業界や地域社会にも広がることで、より多くの人々が参加し、共感できる文化やムーブメントが生まれるのではないでしょうか。スポーツとデザイン、そして社会課題への取り組みが交差するこの未来に、私は強い期待を抱いています。

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