File no. 120
《Le Minor/ルミノア》
フレンチカジュアルを代表する定番アイテムとして、年齢性別を問わず、世界中で親しまれている"バスクシャツ"。
そのルーツは、フランス南西部からスペイン北西部にまたがる海辺のエリア"バスク地方"に住む漁師や船乗りが好んで着用していた作業着といわれている。
耐久性と防風・防寒性が考慮された厚手のコットン生地や海水で濡れた際にも脱ぎやすいボートネック、海上に投げ出された際に目立ちやすい横縞のボーダー柄など、この洋服には海に生きる
人々を支えるための機能が備わっている。
そんなバスクシャツには、御三家と呼ばれる歴史ある3ブランドが現存しているが、今回紹介する《ルミノア》はその御三家の一角を成す名門。
その歴史に少しだけ触れてみる。
《ルミノア》は1936年にフランス北西部にあるブルターニュで、同地域の伝統的な服と人形の服の刺繍工房として誕生した。
1950年にはブルターニュ地方の漁師たち(干潮時に海藻を回収する職業の人々)の作業服にインスピレーションを受け、革新的な圧縮ウールを開発。
その圧縮ウールを使用したウエアを発表し、大成功を収めた。
1960年には、マリンな世界観からインスパイアされた新しいコレクションを発表し、ファッションブランドとしての地位を確立。
着実に業績を伸ばしていった。
そして、1982年に一大転機が訪れる。
《ルミノア》は、1930年にブルターニュのロリアンに創業された、漁師のためのマリンセーターを製造する老舗ファクトリー、MLB(Manufacture Bonneterie Lorientaise)と会社を統合。
このMBLというファクトリーは1970年代からフランス海軍のミリタリーウエアを担当し、将校用のセーターに限っては2010年までに年間5000~15000着の納入実績を誇る名門だ。
両社の持つ伝統や知識、高い技術力が融合することでさらに躍進し、世界に名だたるブランドとしての地位を手に入れることとなった。
そんなフランスの伝統を継承してきた長い歴史と、フランス海軍に認められた実績を持つ《ルミノア》を代表するアイテムこそ写真の「ボーダー クルーネック カットソー」だ。
良質な天然素材をベースに、生地の生産から縫製まで、すべての工程がフランス国内の自社工場内で完結される。
また、高い品質を維持するために大規模な生産を行わず、年間の生産数を抑制しているのも有名なお話。
ワードローブの一着として、歴史ある《ルミノア》が誇るフランスメイドのバスクシャツを手に入れてみてはどうだろう。