キャンプ場を歩いていると「このヒト、なんか違うぞ……!」と感じさせる、個性的なスタイルのキャンパーさんを時折見かけます。一体何が違うのでしょうか?
今回はそんな疑問を元に、個性的な道具とその使い方にフォーカスして取材を敢行。そこで出会った5人のキャンパーさんのサイトで、気になったアイテムについて話を伺ってきました。

「あったらいいな」はフィールドにある。焚き火中に見つけた”余白“が生んだ、ユニークギア。

焚き火フリークの間で人気を誇るアイテムのひとつが、ファイヤーサイドの薪割り台「キンドリークラッカー」。刃の付いた台に薪をセットし、斧の代わりにハンマーで叩くことで、子供でも安全かつ、かんたんに薪が割れることもあり、愛用者も多い名品です。
取材班の目に付いたのは、そんな定番の薪割り台をミニテーブルに変えていたウッド製の天板でした。使っていたのは、ガレージシーンを牽引するブランドのひとつ、サンゾー工務店のデザイナー、あっちゃんさん。

GEAR:KC TOP PLATE / サンゾー工務店 × WANTKEY CAMP、キンドリークラッカー / ファイヤーサイド
「キャンプ場での『キンドリークラッカー』の出番は、薪を割ると終わってしまうので、何か他の用途で活かせないかなという、フィールドでふと沸いた疑問が、この天板が生まれたきっかけでした。そこから、アイデアを煮詰め、木製のアイテムを得意とするブランド、ウォンキーキャンプさんの協力を得て製品化が実現しました。」

この「KC TOP PLATE」は、上質なウォルナット材でできた円形の天板。「キンドリークラッカー」にセットすれば、ランタンやドリンク、カトラリーを置くのにちょうどいいミニテーブルになります。汁受けの溝が彫られているので、ステーキなどをサーブするカッティングボードにも使えるんだとか。

裏面には「キンドリークラッカー」の上部にぴったりはまるよう、溝が彫られているうえ、強力なマグネットが埋め込まれているので、がっちり固定できるようになっていました。
ガレージブランドのオーナーやデザイナーさんは、自身のキャンプ体験のなかで、些細な不便や、疑問を見つけ、そこから、製品のアイデアを得ているようです。キャンプを繰り返すなかで、見つけたちょっとした余白に、DIYのヒントがあるかもしれません。
足場台はキャンプギアだ。道具の転用で生まれるサイトの個性。

ヴィンテージの道具を中心にコーディネートされたカラフルなサイトのなかで気になったアイテムが、ギアの置き場として使われていた赤いラックです。実はこちら、工事現場や、洗車などに用いられる足場台。通称”ウマ“と呼ばれる、作業用品です。
近年では、仕事や日常での作業にとどまらず、アウトドアクルマ旅を楽しむオーバーランダーたちがカスタムを楽しんだり、足場台のトップメーカー、長谷川産業が足場台をベースにしたキャンプ用テーブルを展開するなど、フィールドで見かける機会も増えてきました。

GEAR:アルミ作業台 / 天馬
「もともとこの足場台は、クルマのルーフラックに荷物を積載する際や洗車用として使っていました。せっかく積載スペースを割いて持って行くのにサイトで使わないのはもったいないと思い、DIYしたロールトップ式の天板をのせてラックとして流用しています。天馬という日本のメーカーのものですが、アメリカンヴィンテージな道具と一緒に使っても馴染むレッドカラーが気に入っています。」

足場台を転用したラックの上に置かれていたのは、スタンレーの米軍払い下げのジャグとプリムスのバーナー。この高さに設置することで、ちょうど使いやすい高さになっているそうです。
ロールトップ式の自作天板は、ホームセンターで入手した部材をカットして製作。作業用品感がいい意味で薄れているのは、この天板とカラーコーデのセンスによるものに見えます。

足場台の下のスペースには、キャンプマニアプロダクツの「ローグリルスタンド」を配置し、空間が活かされていました。このスペースは高さがあるので、ゴミ箱などの置き場にも良さそうです。
ホームセンターで板をカットして、下段を作るのも楽しいかもしれません。足場台は、カスタムの余地がたくさんあるうえ、ファニチャーとしての安定性や強度も抜群なので、アイデア次第で一線級のギアになるポテンシャルを秘めています。
家のものを外で使ってもいい。サイト空間に面白みをプラスする、衣類ラック。

これからキャンプを始める多くの方は、専用の道具が必要と考えるかもしれません。実はそんなことはなくて、日常で使っている何気ない道具も、フィールドで活躍する可能性を秘めていたりします。
こちらのサイトのオーナーさんが使用していた、こちらの衣類ラックもそんな自由な道具選びのヒントを教えてくれるアイテムでした。

GEAR:木製衣類ラック / メーカー不明
「このウッド製の衣類ラックは、リサイクルショップで見つけたもので、普段は家で使っています。今回のキャンプが雨の予報だったので、濡れた服を乾かしたり、地面に置きたくないものを吊るせたらいいなと思って持って来ました。」

雨キャンプでの実用性はもちろんですが、取材班がグッときたのは、このラックがサイトレイアウトに高低差を生み、空間に面白みを醸し出していた点です。
高さの低いファニチャーで固めるとのぺっとしたレイアウトになりがちですが、こちらのオーナーさんのように、さまざまな高さのアイテムを組み合わせると、飽きの来ないサイトに仕上がります。
高さのあるハンガーラックは、シュラフを干したり、ランタンハンガーとして活用したり、意外とさまざまな使い道があるので、取り入れてみると便利かもしれません。
思わぬ場所に、思わぬ材料。ひらめきが生んだ、DIYバーナー天板。

スノーピークの分離型シングルバーナー「ヤエンストーブ ナギ」がセットされていたのは、見慣れない天板。それもそのはず、こちらはオーナーさんがDIYで製作したオリジナルの道具でした。
2段に積み重ねられたユニフレームの定番アイテム「フィールドラック」に橋を渡すように設置できるように作られているのが見てとれます。

GEAR:バーナー天板 / DIY、ヤエンストーブ ナギ / スノーピーク
「昔からDIYとホームセンターが好きで、休日は材料探しと道具作りを楽しんでいます。思わぬ材料が見つかる可能性もあるので、自分が興味がない売り場もチェック。ホームセンターに通ううちに頭の中に材料のカタログができているんで『このぐらいの寸法なら、あれと組み合わせてこれができるかも!』といった具合に閃いたりするんです。このバーナー天板もそんな風にしてできました。」

天板の中心にセットされていた円形の風防兼汁受けは、なんと100円ショップで見つけたケーキ用の型を転用し加工したもの。「ヤエンストーブ ナギ」の脚が測ったかのようにぴったり噛み合っています。
これは、ホームセンター以外の場所でも常に頭の中で材料をディグしている、オーナーさんだから見つけられた組み合わせ。DIYにおいて寸法は重要な要素。カスタム派の方は、愛用の道具の寸法を頭に入れておくと、意外な発見があるかも!?
ギアをキャンバスに。眠っていた道具を流用し、唯一無二のファニチャーが完成。

チェアとテーブルは、木製キャンプファニチャーの歴史を作ったパイオニア的ブランド、Byer of Maine(バイヤーオブメイン)のものですが、こちらのオーナーさんの場合は、アーティスティックなペインティングが施され、強烈な個性を放っていました。

GEAR:メインラウンジャー、ノマドテーブル / バイヤーオブメイン
「このテーブルとチェアは、長い間使っていなかったんです。今はサイトの顔になるぐらい、自分のスタイルに欠かせない大事なアイテム。きっかけは、知り合いの画家、森大地さんにペイントを施してもらったことです。おかげさまで、愛着が大きく増し、誰ともかぶらない自分だけの道具になりました。」

他のカラフルでランダムなアイテムとの調和も相まって、一際個性を放っていた、オーナーさんのカスタムファニチャー。この様子なら、もう埃をかぶることもなさそうです。
手元にあるものに新たな価値をプラスして、道具を活かせるのも「流用」の魅力。もしみなさんの手元に最近出番が少ない道具があるなら、手放す以外の選択肢があるかもしれません。
「もったいない」「キャンプで使えるかも」にスタイルを磨くヒントがあるかも……?

眠っている道具の流用や、別の用途の道具の転用で、キャンプの快適さをアップさせつつ、キャンプスタイルの個性を高めていた、キャンパーのみなさん。話をきいてみると、ヒントは、フィールドはもちろん、日常や仕事、キャンプ以外の趣味の中にあるようです。
キャンプスタイルをよりブラッシュアップしたい方や、より快適にキャンプを楽しみたい方は、道具の「流用」「転用」で、小さなイノベーションを起こして、さらにキャンプの深みにハマってみてはいかがでしょうか。
The post キーワードは「流用」と「転用」。自由な発想で差をつける、個性派キャンパーのユニークギア5選。 first appeared on GO OUT WEB.