子どもたちの水疱瘡の予防接種が無料となったため、水疱瘡は減りつつあります。一方で、子どもたちの水疱瘡が減ることによって懸念されているのが、大人の帯状疱疹が増えることなのです。水疱瘡の予防接種の無料化で、大人の帯状疱疹が増えるメカニズムを見ていきましょう。
水疱瘡ウイルスが帯状疱疹の原因
そもそも帯状疱疹は、子どものころにかかった水疱瘡のウイルスが体内に潜伏。免疫力が落ちたときにウイルスが復活して、帯状疱疹を発症させるのです。
じつは帯状疱疹になりにくい職業があります。それが保育士。水疱瘡のウイルスに何度も触れることで、そのたびに水疱瘡ウイルスに対する免疫力が強くなっているからです。
保育士までいかずとも、水疱瘡は空気感染しますから、これまで大人は水疱瘡ウイルスに何度か感染するチャンスがあったということ。こうして水疱瘡ウイルスに対する免疫力が高まることで、結果的に帯状疱疹を予防できていました。
水疱瘡の予防接種で帯状疱疹1.5倍
しかし、予防接種の無料化で水疱瘡にかかる子どもがいなくなると、そのチャンスがなくなります。水疱瘡ウイルスに対する免疫力を上げることができなくなり、帯状疱疹にかかりやすくなるのです。
実際、アメリカでは1995年から水疱瘡の予防接種が無料になっています。その結果、大人の帯状疱疹は1.5倍に増加しました。日本でも同じような現象がおこると考えられるというわけです。
そんな帯状疱疹を防ぐには、水疱瘡の予防接種をするのがもっとも手早い対処法。ただし、水疱瘡ワクチンの帯状疱疹への予防への使用はまだ未承認です。自費で1万円前後の費用がかかってしまいます。