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発酵✕健康✕ガストロノミーの未来―にごり酢がひらく新しい食文化


2025年7月22日に東京・新大久保で「美食テックWTセミナー」が開催されました。日本が持つ食文化の可能性がどのように広がりをみせるのか“発酵食品の未来”がテーマ。「アル・ケッチャーノ」の奥田政行シェフ、「菊乃井」の堀知佐子シェフ、「キユーピー」の奥山洋平氏が登壇し、地域食材の可能性や和食の健康価値、酢酸菌研究の最新成果について語りました。

健康志向の高まりとともに注目度が上がる発酵食品

美食テックセミナーの様子①
今、日本の食文化の中でも特に発酵技術が世界に注目されています。その背景には、健康志向が高まっていることも一つ。また、発酵食品には、腸内環境を整え改善する働きがあると言われており、特に『酢酸菌にごり酢』に注目が集まっています。

そこで、農林水産省のフードテック官民協議会内に設立された“美食テックWT”が日本食文化のさらなる発展を目指して、2025年7月22日に「乳酸菌の事例から見る、日本の美食テック」と題してセミナーを開催しました。

当日は、イタリアン「アル・ケッチャーノ」オーナーの奥田政行シェフ、和食「菊乃井」の堀 知佐子シェフ、そしてキユーピーの奥山洋平氏による最新事例が発表されました。

美食テックセミナーの様子②

ガストロノミーの本質と酢酸菌にごり酢の活用について

奥田政行シェフは、山形県鶴岡市にある「アル・ケッチャーノ」のオーナーであり、地元食材の価値を世界に発信している料理人です。

講演では、「ガストロノーツリズム=人や土地の記憶を呼び起こすストーリー」と定義し、スライドを交えて自身の体験談を語りました。特に、転機となったのが地元産の羊肉との出会いとのこと。

圧倒的な旨味と臭みのなさに感動し、生産者から学んだ後、東京の有名レストランやメディアに積極的に紹介したことで「庄内羊」が全国的な注目を浴びました。

さらに、藤沢カブや庄内豚といった地場食材の復活&料理開発にも取り組み、観光資源としての価値も高めました。なお、奥田シェフは「売れるポイントは、地球上に一つしかない圧倒的な味だ。」と語りました。

続けて、「ありふれたものを作っていては人の心を動かすことはできない。」と説明しました。

また、甘味・旨味・酸味・香りなど本能的に「もう一度食べたい」と思わせる要素を組み合わせることで、食べ飽きない料理を生み出すと解説。

さらに酢酸菌を使った新しい調理法や寿司酢への応用例も紹介しました。最後に、「料理は地域の物語を世界に届ける手段。庄内を食で訪れる街にしたい」とガストロノミーツーリズムの未来像を語りました。

和食が持つ健康価値と腸内環境を整える多様な菌の摂取法とは?

堀知佐子シェフは、和食の健康価値と発酵文化の可能性を科学的根拠とともに解説しました。京都「菊乃井」での長年にわたる経験を経て、現在は東京・赤坂「ルリール」や通販ブランド「ちさこ食堂」を運営しています。

前半、和食が2013年にユネスコ無形文化遺産に登録されたことに触れ、その背景や文化的価値、栄養学的評価を説明。

さらに食物繊維と発酵食品が腸内環境改善や死亡リスク低下に役立つという研究結果をスライドとともに紹介しました。特に酢酸菌を含む「にごり酢」は、旨味成分が豊富で減塩効果も兼ね備えているため、和食に適していると語りました。

さらに、腸活の観点から発酵食品と食物繊維の組み合わせは腸内の善玉菌を増やし、健康維持のために重要であることを説明しました。

堀シェフは「日々の食事の積み重ねが健康を作る」とし、食が体と心、家族や地域の絆を育み強めるものであると強調しました。

キユーピーの酢酸菌研究で注目!免疫・腸活・味覚の最新エビデンス

美食テックセミナーの様子③
キユーピーの免疫・認知プロジェクトに携わっている奥山洋平氏は、キユーピーの酢酸菌研究と「酢酸菌にごり酢」の開発に至る背景を詳しく紹介しました。

1962年に設立された「キユーピー醸造」は、西洋酢の製造技術を日本で先駆的に確立。奥山氏は、江戸時代のお酢が粗ろ過によって酢酸菌を豊富に含み、それが旨味や健康効果に役立っていたことを指摘。

この伝統的製法を現代によみがえらせたのが「酢酸菌にごり酢」であると説明しました。

講演では、スライドを用いて酢酸菌の健康効果に関する科学的エビデンスが多数示されました。特に免疫の司令塔であるpDC(プラズマサイトイド樹状細胞)を活性化し、免疫バランスを整える作用が臨床試験で確認されたことを紹介。

これにより、風邪や花粉症、疲労、倦怠感といった現代人が抱える4大不調の軽減に効果が期待できると語りました。さらに、乳酸菌や納豆菌との相乗効果により、アレルギー症状の緩和に有効的であることも説明しました。

腸活への影響については、4週間の摂取試験の結果が示され「にごり酢が町内環境を整える有効な手段になり得る」と解説しました。

最後に奥山氏は、11月25日を「いいにごり酢の日」と制定し、「全国の蔵元と連携しながら日本の発酵文化を発信&日本食文化に新しい価値を創造していきたい。」と語り、酢酸菌を軸とした未来型フードテック戦略として注目されています。

発酵文化が注目される健康トレンドのつながりと新しい和食の形

美食テックセミナーの様子④
セミナーの最後には、味覚センサー「レオ」による分析結果も披露されました。

酢酸菌にごり酢が昆布だしと同等レベルの旨味をもち、酸味とのバランスにより“うま酸っぱい”という特徴的な味わいが確認されたと報告されました。

こうした味わいの豊かさは、単なる調味料としてだけではなく、健康効果も期待される「にごり酢」の価値をさらに高めています。

伝統的な日本食文化には、欠かせない調味料であるお酢。昔ながらの「にごり酢」の存在は、現代ではあまり見かけなくなってきています。

粗ろ過製法によって豊富に残った酢酸菌や栄養素とその独特な旨味や健康効果が評価されています。

現代の健康志向の高まりの中で、こうした伝統的な「にごり酢」の価値が再認識されつつあり、今後ますます広がっていく可能性が期待されています。

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