※注意※
本コラムには『ひぐらしのなく頃に』シリーズ、『エヴァンゲリオン』シリーズのネタバレがあります。先入観なしで観たい方は読まないことをすすめします。
昭和58年の雛見沢村で起きた猟奇殺人事件などに、主人公たちが巻き込まれていくホラーミステリー『ひぐらしのなく頃に』シリーズ。今回はネタバレありで新作『業』・『卒』の黒幕を暴露しつつ、『エヴァンゲリオン』シリーズとの共通点を考察します。
■両作の共通点はループ、世界の観測者は誰?
『エヴァンゲリオン』を、テレビ版+旧劇場版シリーズも新劇場版シリーズも全て観ている人なら、この作品がループした世界を描いていたことはご存じでしょう。
新劇場版シリーズで世界が何度も何度もループしていることが明示されましたが、それはつまり繰り返しから抜け出ずにいる世界を描いていたとも言えます。
リセットされ世界が戻ってしまうことを失敗とするなら、テレビ版+旧劇場版シリーズは“失敗回”のストーリー。何回も、何十回も、もしかしたらそれ以上、ずっと失敗を繰り返してきたなかの一つがテレビ版+旧劇場版シリーズだったのだと思います。そんなループを断ち切れた“成功回”が新劇場版シリーズのストーリーだったのでしょう。
そして、その繰り返される世界を認知して観測できていたのが、渚カヲルという存在だったわけです。
一方の『ひぐらしのなく頃に』も繰り返される世界を描いたお話。
『ひぐらしのなく頃に』でループする世界を認知していた古手梨花は、『エヴァンゲリオン』で言うところの渚カヲルと同様の立ち位置です。
テレビアニメとして放送された『ひぐらしのなく頃に(無印)』(2006年)の続編『ひぐらしのなく頃に解』(2007年)の最終章では、『エヴァンゲリオン』の新劇場版シリーズのようにループを断ち切ることができていました。
『エヴァンゲリオン』シリーズと『ひぐらしのなく頃に』シリーズは、どちらも何度も何度も世界が繰り返されており、最終的にそのループを断ち切ってハッピーエンドを迎えたという共通点があったのです。
しかし、ここからが相違点。
10年以上の時を経て久しぶりにテレビアニメとして登場した『ひぐらしのなく頃に業』(2020年10月~2021年3月)と、現在放送中の『ひぐらしのなく頃に卒』(2021年7月~)では、ループを断ち切ってハッピーエンドを迎えたはずが、時間が巻き戻ってしまい、また世界の繰り返しが始まってしまったのです……。
『業』・『卒』では古手梨花だけでなく北条沙都子もループを認知できていることが判明。……というか『業』・『卒』の惨劇と世界のループは、沙都子が黒幕となり引き起こしていたのです!
――『エヴァ』と『ひぐらし』は、繰り返されていた悲惨な世界のループを断ち切って、大団円を迎えたというのが共通点でした。ですが『ひぐらし』は再び悲惨なループの世界が始まってしまったという、相違点があるということです。
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