■わがままな彼女に翻弄されて…
「30歳のころでした。3歳年下の女性と知り合ってつきあい始めたんです。見た目はかわいいタイプ。でも意外としっかりしているところもあるし、一緒にいて楽しかったんですよ」
マサキさん(40歳)は、苦笑しながら話し始めた。最初はよかったのだが、3ヶ月もしないうちに彼女はわがままを言い始めた。飲み会で遅くなったから迎えにきてとか、自分が友だちと旅行に行くから成田まで送っていってとか。
「飲み会で遅くなったからというときは、夜中に車で迎えに行ったら女性が4人くらいいるんですよ。結局、全員を送ることになって。しかも彼女は自分が最後に送ってもらいたいからって、ものすごく遠回りさせられた。頼られてうれしいと思ったのは最初だけ。3回目には断りましたよ。そうしたら『あなたって私のことが好きじゃないのね』と」
何かというと、それが殺し文句になった。つきあって半年が経つころには「結婚しよう」攻撃が日に日に強まっていったという。
「まだ半年だからというと、半年だからもういいじゃないって。彼女の家につれていかれて両親にも会いました。両親もすっかりその気で、『ここを二世帯住宅にすればいい』『立て直さなくてもいいじゃない、一緒に住めば』みたいな話になっていて。彼女はひとり娘だから養子に入ってくれればありがたいけど、そこまでは要求しないとか。そんな話、聞いてないよということばかり。彼女の父親は僕が勤務している会社名を聞いて、『まあまあじゃないか』とまで言うんですよ」
マサキさんは、それ以来、彼女に連絡をとらなくなった。彼女からはしつこく連絡が来ていたし、両親から呼び出されたこともあるが、いっさい無視したという。
「早い段階でわかったから、あちらもあきらめがついたんでしょう。何年もつきあわなくてよかったと本当に思いました」
■トラウマに苦しんで…
たった半年のことなのだが、彼にとってはよほどインパクトがあったようだ。それ以来、恋するのが怖くなってしまったという。
「それでも33歳のときにまたつきあい始めた女性がいたんです。今度は穏やかな女性(笑)。だけどつきあって1年くらいたったとき、彼女が失業。いっそ結婚しちゃおうかと言ったら、『バカにしないで』と怒られてフラれました。それもショックでしたね。まあ、あとから共通の友人に、『あなたは思いやりのつもりで言ったんだろうけど、彼女にとっては屈辱だったのよ。彼女は仕事が大好きな人だったんだから。女の仕事をどこか軽く見ていたでしょ。そのことに彼女は怒ったの』と言われました」
そこできちんと話し合えば誤解もとけたのかもしれないが、彼は彼女の怒りに触れて何も言えなくなったという。
「女性ってわからないですよね。それからは1対1でつきあうことに怯えてしまっています。40の大台を迎えたとき、そろそろ本気で結婚しなくちゃとは思ったんですが、すぐ次の瞬間、結婚する意味ってなんだ?と考えてしまって。40にして惑っています」
ある程度、人生経験を積んだ人間が、結婚の意味を考え始めたら、する気がなくなるのかもしれない。彼の周りにはそろそろ離婚組も出てきているとか。今後、彼は「結婚の意味」を見いだすことができるだろうか。