これから牛肉はもっと手軽に食べられるようになるのだろうか。
先日、アメリカ大統領のドナルド・トランプ氏が日米貿易交渉について「おそらく8月に両国にとって素晴らしいことが発表されると思う」と語るのを聞いて、ふと思った。これは農産物関税が下がることを意味していると考える向きが強いからだ。もし、それが本当だとしたら、美味しくてお得なアメリカ産の牛肉が今よりリーズナブルに食べられることになる。
どうしてこんなことを考えたかというと、立ち食いステーキ店「いきなり!ステーキ」が一世風靡して以降、私はすっかりビフテキの虜になってしまっているのである。いきなり!ステーキはもちろん、高級店として知られる「ウルフギャング・ステーキハウス」や「エンパイアステーキハウス」から三鷹にできた松屋の新業態となる「ステーキ屋松」などの大衆店まで、専門店と名がつくところにはほとんど足を運んだ。
そんな私が最近聞いて衝撃を受けた雑学がある。それは私の大好きな「ビフテキ」は「ビーフステーキ」の略語ではないということだ。実はフランス語でビーフステーキを意味する「ビフテック(bifteck)」が訛ったものだといわれている。あれだけ過去に「ビフテキ、ビフテキ」と注文しておきながら、その内実をわかっていなかったのは、非常に恥ずかしい。イギリスで誕生したビーフステーキがフランスを経て日本に伝わった経緯を踏まえると、非常に納得感のあるストーリーといえるのではないだろうか。
また同じように略語で誤認されている例に、ハンバーガーの「バーガー」がある。テリヤキバーガーやフィッシュバーガーなど、オリジナルのハンバーガーを「バーガー」の単語を使って表現しているが、そもそもハンバーガーはそれでひとつの単語であるため、「バーガー」だけを切り出すことはできない。では、なぜこうした誤用が広まってしまったかといえば、ハンバーガーが「ハムバーガー」と誤認され、ハムとバーガーでハムバーガーなのだから中身が魚であればフィッシュバーガーだろうという考えが定着してしまった結果なのである。いわゆる和製英語といわれるものだ。
このように通常とは異なる単語の区分の仕方から新しい誤法が生まれ、それが定着していくという現象は非常に面白い。言語の専門領域では「異分析」という用語で認識されている。
ちなみに牛肉には、筋肉や骨、内臓など、身体を作るのに欠かせないタンパク質をはじめ、神経・脳の働きをサポートしてくれるビタミンB12や免疫機能の低下や疲労回復に効果のある鉄分などが豊富に含まれている。健康のためにもビフテキは一役買ってくれるのである。
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