F1世界選手権の2019年シーズン開幕戦、オーストラリアGPがメルボルンのアルバートパーク・サーキットで開幕した。決勝レースは3月17日(日本時間14時10分スタート)に行われる。2018年はトロロッソにパワーユニットを供給していたホンダは今シーズン、レッドブルにもパワーユニットを供給する。2チーム4台体制だ。
トロロッソの2018年シーズンの成績は10チーム中の9位だったが、レッドブルは4位以下を引き離したうえでの3位。昨年4勝を挙げたレッドブルは、「少なくとも5勝」の目標を掲げてホンダとともに新しいシーズンに臨む。
「常に勝ちたいという気持ちがあるので、勝てればハッピーです」と、本橋正充ホンダF1副テクニカルディレクター(兼トロロッソ・チーフエンジニア)は説明する。「とはいえ、レースは水ものです。ウインターテストでは見えてこない(競合チームの)実力もあります。とにかく、自分たちでやれることをきっちりやるだけです」
2019年型のレッドブルRB15をドライブするのは、マックス・フェルスタッペンとピエール・ガスリー(2018年はトロロッソ・ホンダをドライブ)である。フェルスタッペンは14日木曜日、開幕戦に向けた準備状況について次のように説明した。
「冬のテストはトラブルがほとんどなく、順調だった。みんなが一丸となって仕事をすることができたが、それこそが重要だと思う。新しいエンジンをシャシーに統合する必要があったものの、まったく問題はなく、予定した距離を走行することができた。その点に関してはポジティブな気分だ。パフォーマンスに関しては、現時点でジャッジするのは難しい。テストでは、パフォーマンスを発揮するような走りはしていないからね。ただ、テストの結果には満足している。メルボルンだけでなく、シーズン序盤の戦いを通じて、自分たちの位置ははっきりするだろう」
テストで本気を出していないことは、本橋副テクニカルディレクターも認めている。
「ウインターテストではパワーよりも、パワーユニットの機能や信頼性の確認を行ったので、本気を出したらどのあたりなのか、自分たちもよくわかっていない状態です。テスト後はこの週末に向けて調整してきていますので、実際に走ってみてどのあたりのポジションにいるのか、実力はどうなのか、1~2戦ではっきりしてくるかなと思っています」
ホンダは2018年シーズン中にパワーユニットのアップデートを2回行った。そのうち2回目、スペック3と呼んだ仕様はパフォーマンスの伸びしろが大きかった。ただし、シーズン中のアップデートだったので、やりたいことが全部できたとはいえず、妥協を強いられた部分もあった。本来やりたかったことをすべて入れ込んだのが、開幕戦に投入する2019年版のスペック1である。
「テストでマイナートラブルがいくつか発生したので、そのあたりを改善ないし修正したものを持ってきています。スペックに関してはウインターテストとほぼ同じ仕様です。マイナートラブルとは、(配線などを固定する)ブラケットが壊れたといった内容です。大きな問題というより、クルマに積んで初めて走ると、実際の振動であったり、バンプを乗り越える際にどこかがこすれて……といった内容です」
つまり、先行きが不安になるような、重大な問題を抱えているわけではないということだ。「2018年より信頼性が上がっているのは確か」だし、競合チームとの相対的な位置関係に関しては未知な部分はあるものの、悲観する材料も見あたらない。
■トロロッソも今年は勝てるか!?
ちなみに、レッドブルとのコンビネーションばかりに注目が集まるが、トロロッソも今年は勝つ気でいる。
「トロロッソも『勝ちたい』と思ってやっています。(レッドブルとトロロッソで)多少は違いますが、パフォーマンスを上げようという思いは2チームとも同じ。ただ、速いクルマ(レッドブル)はコーナリングも速いので、そうなるとエンジンも負荷の高いところを使う。そういう違いはあります」
ちょうど1年前、この年初めてホンダと組んだトロロッソは、1台がパワーユニットのトラブルでリタイア、もう1台は15位に終わった。ルノーのパワーユニットを積んでいたレッドブルは、4位と6位のダブル入賞を果たしている。果たして、2019年のトロロッソとレッドブルはどんな走りを見せてくれるだろうか。
「(アルバートパークは)バンピーなコースなので、想定していなかったトラブルが出てくる可能性もあります。ただ、心の余裕ができているので、何か起きたときの対応もできるだろうし、態勢も整っています」と、万全の構えだ。
フェルスタッペンは、「全員のモチベーションは高い。とても前向きだし、目の前の仕事に集中しているよ」と付け加えた。ホンダのパワーユニットを搭載するレッドブルとトロロッソの走りに期待して、間違いなさそうだ。