日刊ゲンダイDIGITALが『ノンスタ井上、フジモンも…“美肌男子”に女性が明かす本音』なるタイトルの記事で、最近の(おもに若い世代の)男性たちが肌への意識が高くなってきている風潮に対して疑問を呈していた。かいつまめば、以下のような内容である。
ノンスタの井上はテレビ番組で、高周波治療を受けたり、自宅でスチーマーや炭酸ミストをしたりと、月10万〜20万円ぐらい美容にお金をかけていると告白している。
「男性の身だしなみに関するアンケート」(シック・ジャパン調べ)によると、男性がなりたい肌のトップは「毛穴が目立たないツルリとした肌」だ。
(中略)しかし、世の女性たちに“美肌男子”、特に中高年男性のそれについて聞いてみると……。
「大人の男性は、シミやシワもひとつの魅力。あまりにツルピカ美肌は、化粧水とか美容液とかいろいろやってるのかなと想像して、引く」(ヘルスケア・39歳)
「仕事がデキなかったり話がつまらない美肌男子は『肌ケアの前にやることあるだろ!』と突っ込んでしまう」(出版・38歳)
(中略)多くの男女を取材する官能小説家の加藤文果氏は、こう明かす。
「イケメンではないのに非常にモテる40代男性に秘訣を聞くと、美肌やオシャレは不要で、白いシャツとシンプルなパンツに尽きる、と。そして女性が話しかけやすい雰囲気を醸し出す。ちなみに彼は健康に気遣っていてお腹も出ていません。彼を見ていると『清潔感漂う魅力ある女性=美肌』ではない。(中略)美魔女が必ずしも異性に人気でないことと同じ理論じゃないでしょうか」
もはや潜在的な中心読者層は60代や70代の熟年男性とも噂されている日刊ゲンダイが、男が肌ケアなどの美容活動に勤しむイマドキのユニセックスな風潮に「オマエはオ○マか!」と言わんばかりにケチをつけたくなる“ビジネス心理”はとてもよくわかる。たしかに「ツルピカ美肌だろうが、LEON張りに上から下までイタリアンブランドでキメようが、モテないヤツはモテない」っていうのも正論だ。
だが、たとえば「ハゲ隠し」は、大枚をはたいて本格的なAGA治療でも受けないかぎり“無駄な抵抗”でしかないが、美肌対策はそこまで高額な化粧水や美容液を使わなくとも、やり続けさえすれば比較的効果が表に出やすい“ケア”である。少なくとも腹を6つに割るよりは簡単で、さしたる努力も金銭も要さないと思われる。
だったら、「やらないよりはやったほうがマシ」なのではないか? 私も50代になるまでは肌ケアなんて一切やったこともなかった。ボディシャンプーをチョチョッと手に盛って、“ついで”に洗顔もしていた。しかし、ここ数年風呂上がりに化粧水と乳液を塗る習慣をつけたら、それだけで明らかに肌が潤いを帯び、確実に若々しく見えるようになった。
日刊ゲンダイは同記事を「磨くべきは肌ではなく、腹と中身か」と〆ていたけれど、前にも述べたとおり、腹を凹ませるのはジム通いだけじゃなく、下手すりゃ根本的な生活改善までを見据えなければならないわけだし、中高年になるまで「女性が話しかけやすい雰囲気を醸し出す」ことができなかった口下手な男性に、今さら「女性ウケする話術を」と強要するのも、それこそ酷な話だったりする。
「せめて白いシャツとシンプルなパンツで清潔感に気をつけましょうよ」と啓蒙するなら、同様に“すぐできること”として、ホンの1%でも2%でもモテ度をアップする肌ケアも、もっとポジティブに捉えてもかまわない気がするのだが……いかがだろう?