週末のみならず、オフィスカジュアルとしても活躍するチノパン。汎用性の高さから、ジーンズ、スラックスに並ぶ誰もが一本は持っているボトムスと言えるでしょう。カジュアルでありながらも大人っぽい雰囲気が魅力のパンツです。
そんな定番アイテムも、選び方ひとつでオジサンぽく見えてしまうリスクがあります。チノパンを穿く際の盲点と解決策をお伝えします。
■チノパンをスラックスのように穿いてはいけない
チノパンとスラックス。「チノスラックス」というアイテムもあるので、同じシルエットで問題ないだろう、と解釈してしまうのは少々危険です。スラックスに見立てたセンタープレスのチノパンは、綿のゴワつきでシワが目立つだけです。そのさまは、まるでアイロンをかけていないシャツのように、だらしなく見えてしまいます。
スラックスの場合、ウール特有の生地の柔らかさから、余った生地がヒラヒラと揺らぎます。この様子がエレガントなのです。昨今、レディースでガウチョパンツやワイドパンツが流行っています。これらのパンツは、化学繊維の性質が活きたテロッとした質感によりエレガントさが演出されます。
一方、チノパンの場合、綿特有のゴワつきからスラックスのような揺らぎはなく、穿いてから生じるシワも目立ちます。だからこそ、チノパンは生地を余らせて穿くより、ボディーラインを強調する方が好印象に見えやすいのです。
とはいえ、身体の動きに合わせて伸縮するストレッチ素材が含まれていなければ、パンツをピタッと穿くことはできません。伸縮しない100%綿素材で細身のチノパンは穿き心地も見た目も窮屈です。そこで、素材の内訳が重要になります。
■大人っぽい好印象シルエット成功のカギは素材が9割
100%綿素材のチノパンをピタッと穿く行為はNGです。チノパンに限らず、細身パンツを穿いている人たちは、ポリウレタンが1%以上含まれているパンツを選んでいるはず。素材にポリウレタンが含まれているだけで、パンツは伸縮性を持ちます。ピタッとしたチノパンを穿いてもキツそうに見えません。
ちなみに、ユニクロの「ウルトラストレッチスキニーチノ」にはポリウレタンが4%含まれています。一般的なストレッチジーンズの含有率が2%程度ということからみれば、伸縮素材の割合の大きさがわかると思います。だからこそピタッと穿けるのです。生地に余りは生じず、余計なシワのないキレイなラインを実現できます。
ただし、最適な素材・シルエットのチノパンを選んだとしても、まだ安心できるとは言えません。オジサンに見えるリスクは「丈感」にも潜んでいました。
■時代によって変わるパンツ丈の正解
パンツ丈のトレンドはジワジワと変化します。トレンドからはずれた丈のパンツを穿くことは、オジサンであることを認めているようなものです。
では、10年代のパンツ丈についてお話します。想像以上に、現在のパンツ丈は短めです。基準はパンツの種類によって変わりますが、チノパン・ジーンズの場合、くるぶしがちょうど隠れる、もしくは見える程度です。
くるぶし出して、行きましょう──2017年ユニクロの「イージーアンクルパンツ」のCMで使われていたキャッチフレーズです。定番アイテムを数多く扱うユニクロでさえも、通称アンクル丈と呼ばれる短めのパンツ丈を推しています。
90年代に青春時代を過ごした男性にとっては抵抗があることでしょう。当時流行った「腰穿き」という文化からもわかるように、長めのパンツ丈に慣れているからです。それでも、いつものチノパンをちょっと短めにお直しするだけで若々しく見えるならば、これに越したことはありません。
ストレッチ素材の細身ライン、くるぶしを意識したパンツ丈、これらを押さえるだけで、チノパンの着こなしはぐっと今っぽくなることでしょう。
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