7月5日の『アメトーーク!』(テレビ朝日系)はテーマが「草野球楽しい芸人」で、現在3チームに所属し、年間約100試合近くをこなす「草野球楽しいライター」である私としても、じつに興味深く拝見させていただいた。
ゲスト芸人たちが、あくまで草野球を楽しむことを目的とする「和気あいあい派」(チュートリアルの徳井義実、スピードワゴンの小沢一敬ら)と、あくまで勝敗にこだわる「ガチ派」(ますだおかだの増田英彦、トータルテンボスの藤田憲右ら)に分かれ、おたがいの主張をぶつけ合う番組構成だが、その平行線ぶりがなかなかに面白く、しかもけっこうリアルでもあり、還暦を迎えたら『護牝』という名の「俺がエースで四番」チーム(ユニフォームはピンク色!)を結成する計画を虎視眈々と進めているゴメス的にも、いろいろと参考になる事例が目白押しであった。
とりあえず、同番組でゲスト衆が披露していた「和気あいあい派」と「ガチ派」の“実状”をいくつかピックアップしてみよう。
【和気あいあい派】
- その日参加したメンバーは、たとえ「12番バッター」となっても全員打席に立たせる
- 打順は「面白い」重視(親子を3番・4番に並べる…とか)
- バッターに代走が付き、打ったら代走が一塁まで走ることもあり
- ダブルプレーなどのビッグプレーが成立したら、敵チームまでが一緒になって大喜びする
- 野球経験者がピッチャーになって速い球を投げたら、「そんなん投げるなよ」と厳重注意が飛ぶ
- 審判は打順が遠い者が持ち回りでやる
【ガチ派】
- グラウンドに入る前は帽子を取って頭を下げる
- 9人のスタメンでプレイボールして、控え選手は途中交代で出場
- ブロックサインが出る(しかも、バレ防止のためキーは日替わり)
- 打順が回ってくる直前は、ちゃんとバックネット裏で素振りをしている
- スキあらば盗塁、バント
- 審判は草野球専門の審判を有料で斡旋してくれる団体から手配する(一試合5〜7千円ほど)
いかがでしょう? サインの見逃しでもしたものなら、仮にヒットを打ってもベンチで監督に叱られるほどのガチなチームでプレーする私からすれば、ガチ派のガチ度が少々物足りなかったりもするのだけれど(笑)、先ほどにも書いたように、どちらの言いぶんにも「けっこうリアル」に「それってわかる〜!」的に賛同できる部分は少なからずあって、当然のことながら“明確な正解”ってやつは存在しない。
そして、これらの「和気あいあい派VSガチ派」といった構図は、それなりに長い期間続けていたら、どんな(野球技術)レベルの低いチームでも大なり小なり背負わなければならない“避けて通れない分岐点”であり、ここを乗り越えることができずに自然消滅してしまったチームを、私は今までたくさん見てきている。
なぜなら「草野球は仕事ではなく趣味」だから。人間とは集団を組めばおのずと「能力の優劣」が生じてくる。これが「仕事」、すなわち「プロの集団」だとある意味、話は早い。野球の能力の劣った者を淘汰し、“最強のメンバー”を組めば良い。しかし「趣味」ゆえに、能力の劣った者をないがしろにはできない。いっぽうで能力の優れた者の「もっと真面目にやりたい」「勝ちたい」といった“欲”も、また同等として扱わねばならないのだ。
そんななかで、15年の草野球人生から私なりに培ってきた「和気あいあい派」と「ガチ派」との“落としどころ”を、前出の項目から厳選した。
- 練習試合なら、その日参加したメンバーは、たとえ「12番バッター」となっても全員打席に立たせる
- 公式戦なら、9人もしくはDH込みの10人のスタメンでプレイボールして、控え選手は途中交代で出場
- 打順は「面白い」重視もアリ(助っ人外国人みたいな風貌のメンバーは、たとえ未経験者でも四番に置く…とか)
- グラウンドに入る前は帽子を取って頭を下げる(できれば試合終了後のエール交換も。礼に始まり礼に終わる)
- ブロックサインは出す(決まればむっちゃ気持ちいい)
- 打順が回ってくる直前はちゃんとバックネット裏で素振りをする(一打席を大事にする心構え)
- ダブルプレーなどのビッグプレーが成立したら全身全霊で喜びを表現する(ただし、敵チームまで巻き込む必要もない)
- 審判は攻撃チームの持ち回りではなく手配する(ここはマスト! 和気あいあいでプレーするにしても最低限の緊張感は持ち合わせたい)
あと、ユニフォームだけは和気あいあいであろうがガチであろうが絶対に揃えたほうがいいと思う。バラバラのスエットやジャージ姿のチームが対戦相手だとホント、テンション下がりますから……。