車には貼付がマストなステッカーもあれば、貼ってはいけないステッカーもある。フロントガラスの場合、貼っていいのは原則として車検ステッカーと整備点検ステッカーの2点だけ(これら以外に、警察から「不正改造車」で取り締まりを受けた際に貼られる「整備命令標章」などもアリ)。また、ステッカー以外にフロントガラスに貼っていいものといえば、ルームミラーやETCのアンテナ等に加えて、平成29年6月22日から車内用のドライブレコーダーをフロントガラスに設置できるよう、道路運送車両の保安基準が改正されている。
1.フロントガラスに貼れる範囲は?
車検ステッカーやETCアンテナなど、フロントガラスに貼ってよいもの、貼る義務があるものを貼る場合の範囲は、簡単に言うと、フロントガラスの上から20%の幅と、下から150mmの幅である。要するに運転するための視界を邪魔することなく、安全に運転するための透明部分以外のスペースということになる。
なお、ご存知の方も多いと思うが、フロントガラスの下、ダッシュボード周りには視界を妨げるものを置くのはNG。ぬいぐるみなどをたくさん置いている車も見かけるがこれは、道交法違反になる。なにより危険だ。視界を妨げるだけではなく、エアバッグの作動に影響することもある。足元に転げ落ちてブレーキペダルの下に入り込んだりしたらブレーキペダルが踏めず大変危険な状態にもなる。フロントガラスにたくさんのぬいぐるみ…これは見た目も大変恥ずかしい。
2.車検ステッカーは貼るのが義務。貼らずに走行しているとなんと50万円以下の罰金!?
さて、車検ステッカーは正しくは「車検標章」という。フロントガラスの上部中央、ルームミラーの付け根あたりに貼るのが一般的である。貼ることは義務付けられており、車検ステッカーを貼付しないと車検証を車内に積んでいないことと同じにみなされる場合もないとはいえない。50万円以下の罰金を徴収される可能性もある。ちなみに、フロントガラスに貼る場合には上部20%の帯部分で、「外から見えやすい場所」に貼ることが定められている。
黒い影になった部分に貼ることはNGである。写真のように、外から車検ステッカーの文字などが見えにくいためだ。国交省が定めた車検ステッカーを貼る場所は以下に定められている。
- バックミラー(ルームミラー)がある車はその前方の前面ガラスの上部
- その他の自動車は運転者席から最も遠い前面ガラスの上部
- フロンントガラス上部が着色されていて、外からシールを確認できない場合は、確認できる位置まで下にずらす
3.車庫証明ステッカー(保管場所標章)には貼り付け義務がある?
車庫証明ステッカーはカッコ悪くて貼りたくない!という人もいるかもしれない。実は筆者もこれまで10台以上車を乗り継いできたが、一度も貼ったことがない。別にカッコ悪いから嫌というわけではなくて、単に面倒だからである。今乗っている車の車庫証明も車検証入れに入れたまま20年が経過している……。
で、この車庫証明ステッカーにも貼り付ける義務があるのだが、貼らなくても罰則はない。貼る場合はリアウィンドウの指定場所に貼るわけだが、そもそも何のために貼るのかよくわからないステッカーである。車購入の際には車庫証明の提出がマストなのだから。
4.燃費基準、低排出ガスステッカー
「平成32年度燃費基準達成車」「平成27年燃費基準+20%達成車」や、「★★★★低排出ガス車」などの、ステッカーが貼られるようになって久しいが、実はこちらも強制ではない。ただ、これらのステッカーは本来、低燃費という素晴らしい性能を認める誇らしいものである。「ダサい、カッコ悪い」と思う人もいるかもしれないが……。
新車で購入すると、燃費基準などのステッカーは、車庫証明ステッカーと同様、ディーラーで貼られてから納車される。一度貼るとはがすのがとても大変なので、貼りたくない人はあらかじめ納車前にディーラーの担当営業マンに伝えておくのが賢明である。
5.日本ではイマイチ、ですが、海外では大人気
日本では、「貼りたくない、はがしたい」と思う人もいるこれらのステッカーだが、実は海外の日本車好きにはひそかな、マニアックな人気アイテムとなっている。日本国内だけのステッカーなので、本物のJDM(Japanese Domestic Market)仕様として熱狂的な海外ファンが自作したり、ネットオークションなどで購入したりしているのだ。自分の愛車(当然、日本車)に貼って究極のJDM仕様車に仕立てるのに最高のアイテムなのだ。